歩ける人は、歩くことが運動になり、移動の手段になることがわかっている。さらに目的を持って歩くために、以下に5つの方法を提案しよう。
(1)大局的な視野を持つために歩く
いまは試練の時である。世界規模のパンデミックが多くの人々から多くのものを奪ったが、ほとんどの人はこの苦境の中でも大局的な視野を持つことができる。
私は異なる視点を得ることが必要な日には、太陽や木々、水面を見ながら、ぶらぶらと歩く。そのような風景は、宇宙の広がりについて考えることや自然の美しさを認識することを思い起こさせ、私が(安全な時に)探検すべき場所が世界中にまだどれほどあるのかを考えさせてくれる。
(2)人とつながるために歩く
1人で歩くのもよいが、そうする必要はない。最近では、歩くことは私たちにできるより安全な活動の一つである。
ニューヨークからノースカロライナに引っ越す前の私は、毎週日曜日、近所に住んでいたレスリーと一緒に歩いていた。そして、引っ越した後のいまでも、600マイル近く(約1000キロ)離れているにもかかわらず、日曜の朝に一緒に歩いている。スマートフォン越しに話をしながら、だ。
一緒に歩こうと、友人や家族を誘ってみよう。実践可能で、安全で、信頼できるなら直接会って、そうでなければスマートフォンで話をしながら歩くとよい。
(3)学習するために歩く
できる限り雑念を払いたいが、役立つ新情報も吸収したい。
ポッドキャストやオーディオブックを聞きながら歩くことはできる。申し込んだものの参加できなかったウェビナーの録画を聞きながらでも歩ける。
あるいは、名前を知らない木や動物(私はマンハッタンで生まれ育ったため、木や動物の名前をほとんど知らない)の写真をスマートフォンのカメラで撮って、家に戻ったらそれが何だったのかを調べることもできる。
(4)感謝するために歩く
慢性的な腰痛と急性の腰痛をともに経験した者として、私は歩けることの幸せを深く味わいながら散歩をすることが多い。そして、痛みがないことにほっとしつつ歩く。
また、女性が(ほとんどの場合)不安を感じずに1人で歩けるという恵まれた環境に感謝する。あるいは、歩いた後に清潔で温かいシャワーが待っていることを嬉しく思う。多くの人が亡くなっている時に、自分がいま生きているという恵みに感謝することもある。
(5)生産性を上げるために歩く
歩きながら話をすることを信条としているクライアントとは、コーチングもスマートフォン越しに行う場合がある。散歩中のクライアントとのネットワーキングのために、通話の予定を入れることもあるかもしれない。
また、私は歩いている時に生産性が上がるので、ブレインストーミングして出てきたアイデアや新しい原稿をスマートフォンのボイスレコーダーに口述することもある。そうすれば、帰宅後、やることリストから散歩以外の項目を消すことができる。
時には自分の目標を捨てて、歩く目的が私の前に現れる時もある。保護犬のナッシュと散歩をしていて、ナッシュがリスを追いかけたい時に、それは頻繁に起きるのだ。
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結論をまとめると、次の通りだ。歩ける時に歩ける場所を歩けば、あなたの体と心、そして精神は、歩いたあなたに感謝するだろう。
HBR.org原文:Don't Underestimate the Power of a Walk, February 02, 2021.