次は、シンプルなユーモアを試してみる。そのための一つのやり方は、最初に単純な気づきを話して皆の注意を逸らしておき、最後に自分が気づいた本命の「おかしなこと」を明かすというものだ。
リモートワークをしていて自分がほんの少しでも面白いと思ったこと、たとえば「自宅からビデオ会議に出席している人たちの腰から下は、どんな格好をしているかわからない」と気づいたなら、最後に予想外のことを言う「三段落ち」と呼ばれる手法が使える。こんなふうに。
「オフィスで仕事していた頃が懐かしいです。休憩室で話をしたり、皆の机に励ましのメッセージを置いたり、それにパジャマのズボンではないものを履いていましたよね」
また、不在時の自動返信メールや署名など、日常的に行うちょっとしたコミュニケーションを活用することもできる。リスクのない簡単な方法で職場に潤いをもたらすことが可能だ。筆者らが思わず笑ってしまったものを少しだけ紹介しよう。
「自分が経験した中で、最もWi-Fiが不安定な国に出張中……返信は7月10日、データが地下水のように流れるニューヨークに戻るまでお待ちください」「カフェイン漬けの◯◯より」、チームのズーム会議にペットが突然登場した後の「本当に、誰が犬を放したのだろう[編注]」である(最後の一つは、前に起きた面白い出来事について冗談を言う「コールバック」という別のテクニックを使っているので、ボーナスポイントを進呈したい)。
ここまで準備ができたら、次のステップに進もう。営業をかけている顧客やビジネスパートナー、交渉相手に対して、少し厚かましくなってみる。
下着メーカーであるスパンクスの創業者兼CEOを務めるサラ・ブレイクリーが、百貨店ニーマン・マーカスの購買責任者に対して最初に取ったアプローチは、靴の片方だけに手書きの手紙を添えて送るというものだった。「何とか足掛かりをつけて入り込みたいと思っています。お時間をいただけませんか」
もう一つ聞いてほしい。米国のマデレーン・オルブライト元国務長官とロシアのある高官は、緊張にあふれた初会合の後、おかしなデュエット曲を歌った。その歌とは、ミュージカル『ウェスト・サイド・ストーリー』の1曲を真似た、その名も「イースト・ウェスト・ストーリー」である。