
新型コロナウイルス・ワクチン(ファイザー/ビオンテック製)の接種を待つ内科研修医のリュック・オバーホルト(2020年12月16日、コロラド州オーロラ)
Michael Ciaglo/Getty Images
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新型コロナウイルス・ワクチンの開発は世界中の人々に希望を与えた。しかし、残念ながら、その接種が円滑に進んでいるとはいえない。ワクチンを優先的に必要とする人たちに届けられていなかったり、現場でワクチンを注射する医師が不足していたりなど、さまざまな問題が浮上している。ただし、ワクチンの開発・流通・接種というプロセスで見られる問題は、新型コロナに限ったことではなく、米国の医療システムが長らく抱えている根本的な問題を浮き彫りにしたにすぎないと筆者は主張する。
米国で新型コロナウイルス・ワクチンの接種が円滑に進んでいないことは、この国の医療システムが持つさまざまな問題を象徴している。
米国には、高いレベルの専門的訓練を受けていて、優秀で思いやりのある医療従事者が大勢いる。また、米国の卓越したR&D体制は、画期的な治療法を生み出してきた。しかし、そうした数々の強みを持っているにもかかわらず、米国の医療システムは、質の高い医療を、安定的に、費用対効果の高い形で患者に提供できていない。
いまワクチン接種を推進することに苦労しているのは、米国の医療システムが直面しているもっと大きく、もっと根本的な問題の一面にすぎない。