
実際に行動する前に物事を掘り下げて考えることは、リーダーとして成果を上げるために欠かせない資質である。しかし、それが行きすぎて考える必要のないことまで事前に検討するようになると、それは非生産的な時間であり、ストレスも大きい。本稿では、思慮深さという強みを活かしながら、より迅速に優れた意思決定を下す5つの方法を紹介する。
大手テクノロジー企業でプロダクトリーダーを務めるテレンスの仕事は、意思決定を下すことだ。開発する機能の優先順位を、チームはどのように決めるべきか。プロジェクトにどの人員を配属すべきか。プロダクトのリリースをいつにすべきか。数百に及ぶ選択が、テレンスの監督する各プロダクトのビジョン、戦略、方向性を左右する。
テレンスは自分の仕事が大好きだが、これほど多くの意思決定を行うことは多大なストレスにもなっていた。「正しい」選択をするためにさまざまな可変要素を分析しているうちに、非生産的な思考ループにはまって何時間も無駄にするのだ。
先行きを心配し、リリースがうまくいかないあらゆるパターンを想像してしまう。あげく、貴重な時間とエネルギーを、行動よりも熟考に費やして無駄にした自分を責めることになる。言い換えれば、通常ならば強みである思慮深さが、彼の場合は往々にして「考えすぎ」という状態につながっていた。
筆者の言い方では、テレンスは「繊細な努力家」(sensitive striver)、つまり物事を人一倍掘り下げて処理し、優れた成果を上げる人物である。研究によれば、繊細な人は、思考処理に関わる脳部位の回路と神経物質がより活発であるという。このような人々の脳は、情報をより多く取り込むだけでなく、それらの情報をより複雑な方法で処理する。
テレンスのような繊細な努力家は、さまざまな観点とニュアンスを探る態度を称えられることが多い。しかし同時に、ストレスと圧迫感の影響も受けやすい。
熟考はリーダーシップの資質として望ましく、また不可欠であり、よりよい結果を生むのは間違いない。しかし、テレンスのような人たちの場合、意思決定の過程で効果的な熟考が「考えすぎ」に変わってしまうことがある。
あなたも身に覚えがあるなら、考えすぎのサイクルを止めて、より迅速に優れた意思決定へと向かうために、以下の5つの方法がある。