次にパワフルなのは、声を上げること

 チームで唯一の黒人だと、人から「黒人の専門家」と見られることがよくある。「黒人はこんなことが好きなのか」「なぜ黒人はあんなことをするのか」という疑問が浮上すると、まず質問される。

 私自身の経験では、こうした質問はやっかいだが無害だ。しかし、非武装の黒人男性が警察に射殺されたり、黒人男性が窃盗や不法侵入をしたと白人女性が非難する動画が出回ったりすると、雰囲気は一変する。

 何気ないやり取りでも緊張感が増す。チームメンバーにとって、年齢、社会的背景、国籍などにかかわらず、私がすべての黒人の代表なのだと知ったのは、こうした時だ。

 向き合うことはけっして容易ではないが、こうしたことが初めて起きた時は率直に話すべきだと、私は助言したい。なぜなら、おそらくこれからも起こるからだ。コメントや質問が不快だとすぐに伝えることで、相手は自分の行動がいかに不適切かを、より意識するようになる。

 答えるのが不快な質問を初めてされた時には、あなたは黒人の権威ではないことを伝えよう。私たちは統制された集団ではなく、それぞれが異なる人生を送っていることを説明する。

 もし誰かが冗談で「ねえ、黒人ってみんな……」と聞いてきたら、私は断固とした態度でこう答える。「私はすべての黒人を知っているわけではないので、どう答えていいかわかりません。あなたの質問は失礼です」

 その場で相手と向き合うことに抵抗があるなら、個人的に話をする時間を設けて、相手の発言でなぜ傷ついたのかを伝える。いずれにしても、声を上げ、自分がどう感じているかをチームメイトに知らせなくてはならない。そうした質問は容認できないという前例をつくるのだ。