話し合う

 自発的に議論に参加できる場所をつくろう。自分の気持ちを話したいスタッフもいれば、話したくないスタッフもいるものだ。

 ある法律事務所の白人アソシエートは、事務所が話し合いの場を設けなかったことに落胆を示した。BLMのためには、慎重に考案されたプログラムが実施されていたから、なおさらだ。

 別の会社のアジア系デザイナーは、会社がディスカッション・フォーラムをつくったことに感謝していた。それは全員が結束する機会になるからだ。

 たとえば、彼女の上司は個人的には彼女に何も言わなかったが、その議論に参加しているのを見て、自分たちをサポートしてくれているのだと感じられたという。あるアジア系のヘルスケア従業員は、ディスカッションに出席しなかったが、それが存在することを知って、会社が人種問題を真剣に考えてくれているのだと感じたと言う。

 前述のウェンディの会社では、スタッフが通勤中に安全を感じられるようにする措置が話し合われた。まさに、ウェンディがアトランタの事件後、ずっと抱いてきた恐怖だ。「その懸念に対処するドアが開かれたと感じる」と彼女は語った。

本気で取り組む

 会社が社会全体に変化をもたらすために、どんな長期計画を検討しているかを知りたいという従業員も何人かいた。その内容は、会社によって違ってくるだろう。

「私は仕事を心から楽しんでいるけれど、倫理的に生きていくとはどういうことか」と、ある法律事務所のアソシエートは問いかける。彼女は、自分の事務所のAAPI支援団体への寄付は不十分だと感じていた。一方、ある製薬会社のマネジャーは、会社がただちにメッセージを発信したことに感動していた。

 自分の会社のDE&Iに対する長期的コミットメントを知りたいという従業員も少なくなかった。文化的感受性を高める研修を実施するのか、採用プラクティスを改善するのか、経営幹部レベルにアジア系を加えるのか――。

 中堅コンサルティング会社でDE&Iを指揮するDは、最終的に最も重要なのは、企業が系統的バイアスを撤廃するための長期計画を策定することだと言う。「会社全体が変わる必要があるが、企業文化の変革は常にそうであるように、これはマラソンであって、短距離走ではない。だから、何年もかけて取り組む必要がある」

 反アジア系差別に対して強い姿勢を取ること自体は、議論の余地がないことであるべきだ。それは会社が従業員に共感を示し、会社のサポートを感じさせ、信頼を勝ち取る簡単な方法だ。それをやらなければ、冷淡な会社という印象を与え、最悪の場合、従業員の信頼を失う恐れがある。

 研究によると、米国人の68%が、企業が社会問題に対して明確な態度を示すことを期待している。不正義を前に沈黙を守ることは、もはや現実的な選択肢ではなくなっているのだ。


HBR.org原文:What Your Asian Employees Need Right Now, April 6, 2021.