購買プロセスの変化に
営業モデルが追い付いていない
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、景気後退が引き起こされ、企業の倒産や債務負担の膨張、予算の削減が連鎖的に生じている。顧客が何かを購買するにしても、当面は意思決定に時間がかかりそうだ。企業が現在の危機を乗り越えるために、戦略上重要になるのが効果的な営業活動だ。ところが、多くの上級幹部は顧客とじかに接する営業担当者の業務にうとく、自社の営業モデルの更新が急務であることに気づいていない。
ビジネスの複雑さが増し、この25年間でCEO直属の幹部の数は平均で2倍に増えた。しかし、幹部のほとんどはITや財務、エンジニアリング、法務といった専門分野でキャリアを築いている。人材紹介会社ハイドリック&ストラグルズのリポート「トップへの道2019」によると、営業経験が不十分なままCクラスに上り詰めた幹部は、CEOに限らず増えているという。
幹部らは、営業チームを利益最大化の実務集団として扱うのではなく、むしろ謎めいたブラックボックスのようなものと見なすことが多い。四半期目標を達成するうえで営業は不可欠だと認識しながらも、戦略的な話し合いからは営業を締め出している。営業マネジャーのほうでも、仕事がやりやすいことを理由に現状を受け入れていることが多い。しかし、Cクラスのリーダーたちが営業を理解せず距離を置けば、市場に適した戦略を策定し実践する力が損なわれる。このように、上級管理職と営業チームの間に溝を抱える企業があまりに多い。