(1)家庭でジェンダーステレオタイプを助長しない

 2019年に国際労働機関(ILO)が75カ国を対象に行った調査で、女性は家事や育児、介護といった無償ケア労働の75%以上を担っていることが明らかになっている。

 この不平等はコロナ禍で悪化しているが、残念なことに家事や子どもの在宅学習のサポートに関して不均衡に大きな負担を強いられていることで、女性が大きなインパクトを受けているという報告がなされている。

 熟考したアプローチを取れば、子どもが平等主義的ロールモデルを目にする環境をつくることができる。これはカップルにとって、家事や育児の分担についてざっくばらんに話し合う、よい機会でもある。パートナーの態度をこうだと決めつけるのは簡単だが、会話を通じて驚くべき発見が得られることもある。

 ただし、その会話は感情面で負荷のかかるものになるかもしれない。特にパートナーがどれだけ家事や育児を負担しているかに関しては、認識にギャップがある可能性がある。

 たとえば、『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、コロナ禍の間、男性は子どもの在宅学習のサポートを45%担っていると自負しているが、パートナーの目にはわずか3%しか負担していないと認識されている。

 したがって、パートナー間の会話は中立的なトーンで始め、育児だけでなく、子どものスポーツ、庭仕事や機械の修理など、家庭において伝統的に「男性の仕事」とされていることも含めるのがよい。

 これは子どもが担う家事にも当てはまる。男児はゴミ出し係、女児は食洗機に食器を入れる係になってはいないか。それは、親自身のジェンダー役割を反映したものではないだろうか。

 また、各家庭で「十分なレベル」とはどこかを考える、よい機会でもある。女性は「清潔な家」を維持する社会的プレッシャーにさらされがちであり、それが女性の評価基準になることもある。それによって男性が評価されることはないにもかかわらず、だ。

 コロナ禍で来客を迎える機会がほとんどない中、とりわけ女性自身がそのような自己評価を見直したり、一部の家事はまったくやる必要がない、あるいは頻繁にやる必要はないと判断したりする、よい機会になる。

 最後に、子どもの玩具や児童書を見直してみる。あなたが読み聞かせる本には、男女両方のキャラクターが登場するだろうか。恐竜はみんな雄で、ポニーはみんな雌ではないか。強いキャラクターは男性で、感情を表現するキャラクターは女性になっていないだろうか。