(2)学校におけるジェンダーヒエラルキーを子どもと話し合う

 家庭で平等主義的態度を育むことは、学校における不平等を是正する機会にもなる。全米教育協会(NEA)によれば、米国では教員の約75%が女性だが、小学校の校長に女性が占める割合は50%程度であり、その割合は高校の校長になると30%程度に落下する。教育界にガラスの天井が存在する証左だ。

 米国だけではない。経済協力開発機構(OECD)加盟国のほぼすべての国で、給与が比較的低い小学校の教員は、給与が比較的高い中学校・高校の教員に比べて、女性の占める割合が大きい。高等教育になると、女性教員の割合は50%以下だ。

 子どもたちが学んでいる環境は、その大多数を女性教員が占めているにもかかわらず、管理職や高報酬の役割では男性が大半を占めているのだ。

(3)すべての子どもに「非伝統的な」科目を奨励する

 コロナ禍の在宅学習で親の関与が増えたことは、子どもがいままでとは違う科目に関心を持つ機会になる。

 たとえば、ユーチューブで関連科目の動画(科学実験など)を見つけて一緒に視聴し、さらに関連科目について学校で何を学んでいるか質問する。オンラインで男女両方のロールモデルに関して調べるのもよい。こうした科目で達成できたことを意識的に褒めることもできる。

 2019年の英国の調査によれば、男子がテクノロジー関連職を勧められる割合は、女子の2倍に達する。STEM(科学・技術・工学・数学)を最も得意な科目とする割合も、男子は女子の2倍だ。そして、自動化によって消滅の危機にさらされている仕事の70%を女性が担っている。

 同じ研究では、十代後半の若者の78%がテクノロジー業界で働く著名な女性の名前を挙げることができなかった。社会で活躍するロールモデルに対する意識をより高めることによって、女子の野心にインパクトを与え、女性の平等と成功に対する男子の平等主義的態度にインパクトを与えることができる。

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 母親は娘のやる気を刺激し、息子のジェンダーに対する平等主義的態度に比類のない影響を与えることができる。みずから平等主義的ロールモデルとなって、家事の分担を見直し、子どもの本や玩具のジェンダーバイアスに気を配ることは、いずれも大きな変化をもたらす。

 コロナ禍で生活が劇的に変化したにもかかわらず、さらに何かの努力をするのは大きな負担に感じられるかもしれない。だが、次世代の平等を拡大するために、いま小さなステップを積み上げていくことは、いまよりも生産性が高く、もっと公正で、より善い社会をつくる一助になるはずだ。


HBR.org原文:Empower the Next Generation to Be More Equitable, March 15, 2021.