使命感を失った時に陥る病
いま、世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威にさらされている。中国に端を発した流行から、すでに1年以上が経過しているが、感染者数ならびに感染地域は拡大の一途をたどっており、2021年5月現在も収束の兆しは見えていない。「コロナ前」「コロナ後」「ウィズコロナ」──これらのキーワードが示すように、新型コロナ感染症の流行拡大により、世界は一変してしまった感がある。
私たちの働き方も例外ではない。解雇や賃金カットなど雇用の不安定要素の増大、リモートワークがもたらしたワークライフバランスのゆがみ、そして、人間関係から切り離されたことによる孤立感など、多くの人がこれまでにない強いストレスを感じていることは想像に難くない。その中でも、特に環境が激変してしまった職場が医療現場である。
これまでも、医師や看護師など医療従事者の過重労働や、患者との濃密な関係に由来する対人ストレスが問題とされることは多かった。しかし現在、医療現場が直面している危機は、いままでのものとは質的に異なる。