1. 前任リーダーの貢献を認める
優れたリーダーは、過去と未来を分離する。その際に、前任者を完全に無視し、悪ければ組織が直面するすべての責任や課題を前任者のせいにする人も多い。自分の前任者が悪いイメージを持たれている場合は、特にその傾向が強くなる。
だが、優秀なリーダーは、どれだけ悪いリーダーだったとしても正しい行いをした可能性も含め、過去の現実を認める。前任者を支持する従業員もおそらく存在していて、彼らは何が悪かったのか、何を変えなければならないのか、さまざまな意見を持っているだろう。
新任リーダーは、前任者がもたらしたポジティブな側面を認める一方で、その人物が組織にもたらしたトラウマやダメージについても率直に話し合うべきだ。
前任者が退任する理由がそれほど深刻でなくても、対処が必要な場合もある。筆者は最近、ある大手多国籍企業のCEO交代を支援した。その企業は新型コロナウイルス感染症のパンデミックで大きなダメージを受け、事業戦略を劇的に進化させなければならず、取締役会は前任CEOが次のフェーズには適任ではないと判断した。
筆者らが体制移行に取り組む間、新任CEOは、会社を築き上げ、並外れた成功を収めた前任者への感謝の気持ちを繰り返し強調した。彼は前に進むのには適していなかっただけだ、と。
リーダーシップが成功するかは、一見すると相反するこの2つの真実のバランスを取れるかどうかだ。前任者はけっして怠慢ではなかったが、有能ではなかった、あるいは今後力を発揮できそうになかったのだ。優れたリーダーは、この2つのことを率直に、確実に、そして誠実に認めなければならない。