●下調べの結果と感謝の意を示す
いざ質問をする時は、内容と同様、聞き方も重要になる。質問をどのように組み立てるかは、必要な助けを得られるか否か、そしてプロフェッショナルとしてよい評判を得られるか否かの違いをもたらす。
可能な限り最高の印象を与えるためにも、質問だけをぶつけるのはいけない。相手を巻き込む前に、自分自身の手でどれだけ下調べしたかを共有する。
もしあなたが客観的な答えを求めているなら、いきなり本題に入りたい気持ちを抑えなくてはならない。そうではなく、「これについて質問したいのですが、それはこういう理由からです」という聞き方にする。
たとえば、「タイムシートはどうやって提出すればいいのですか」という質問は、次のように変える。「タイムシートのことなら、あなたが何でも知っているとリサから聞きました。イントラネットで見つけたバージョン2.4が最新版でしょうか」
もしあなたが主観的な答えを求めているなら、相手が答えやすい流れをつくる。つまり、「次は何をすればよいでしょうか」といった自由回答形式の、したがって回答するのに努力を要する質問を投げかけるのではなく、相手に材料を与える。
まず、質問の背後にあるコンテクストを共有したうえで、選択回答形式の質問をする。たとえば、複数の選択肢から回答を選ぶ「プランA、B、Cのどれがよいでしょうか」という質問、あるいはイエスかノーで答えられる「この理解で正しいでしょうか」といった質問だ。「プランAとBを考えています。Xという理由からプランAがよいと思うのですが、あなたはどう思われますか」といった、デフォルトを示す質問形式もよいだろう。
相手に同じことを2度言わせないように注意する。相手が何か言ったら、それを相手に対して反復する、自分に対しても反復する、メモを取る。相手が言ったことを覚えておくために必要なことであれば、何でもよい。
同じ質問をもう1度繰り返す必要が生じた場合、もしくは同じ相手にばかり質問をしている場合には、別の誰かにアプローチすることを考える。あるいは、「申し訳ありません。以前、お伺いしたことがあると思うのですが、確認させてください」と、2度目の質問だとあなたが認識していることを示す。
必要な助けを得たら、感謝の意を示すことも忘れてはいけない。シンプルでよい。たとえば、「○○でお忙しいところ、わざわざ時間をつくって、このコンセプトについて説明していただき、本当にありがとうございます」といった具合だ。小さな感謝を相手に示せば、次も助けてもらえる可能性が高まる。
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結局のところ、助けを求めることで重要なのは、実際に助けを得ることだ。それはまた、あなたが助ける価値のある人間だと証明することでもある。
疑問が生じた場合、すぐさま同僚に質問を投げかけ、答えを聞いたら即座に姿を消すほうが、その時は簡単かもしれない。だが、少し手間をかければ、あなた自身の生産性に大きな違いをもたらしうる。もちろん、あなたの評判に違いをもたらすのは言うまでもない。