●他人の行動を個人的なものと受け止めない

 あなたが繊細な努力家なら、共感のレベルは桁外れに高いはずだ。その感情の深さは特別な資質であると同時に、重荷でもある。

 あなたは他人のニーズを察知することに長け、意欲を鋭く感じることができる反面、他人の行動を個人的に捉えすぎているかもしれない。たとえば、人が何気なく言った言葉を侮辱だと勘違いしてしまう。

 次に自分がパラノイアに囚われていることに気づいたら、あなたの共感力をよい方向に向けてほしい。相手の立場に立ち、何がその人の反応につながっているのかを考える。相手の行動を最も好意的に解釈するとどうなるか。

 マルティナは、上司が成果物の進展がないことに腹を立てているように見えた時、この方法を実践した。動揺するのではなく、上司の立場に立って他に何が起きているのかを探った。するとすぐに、上司の反応はマルティナがミスをしたからでも、パフォーマンスが悪かったからでもないことに気づいた。大変な一日を過ごしたことか、あるいは仕事と子育ての両立が原因で疲れ果て、いら立っていたのだ。

 ●不安を切り離す

 適切な境界線がないと、パラノイアはプライベートな時間にまで及んでしまう。実際、労働者の5人に4人は夕方に「スイッチを切る」ことが困難だと感じている。この統計は、一日の終わりに精神的に仕事を断ち切り、不安を取り除くのが不可欠であることを示している。 

 筆者がクライアントに提案している方法の一つが「バックパック」だ。頭の中でその日のストレスを想像上のバックパックに詰め込み、一晩中、ホームオフィスの隅に置いておくのだ。あるいはより具体的に考えたい人は、紙に四角形を描き、気になっていることを書く。そして、それらを断ち切るように紙を破り捨てるといい。

 職場での出来事に注意を払い、敏感であることは、競争優位になるが、行きすぎるとパラノイアに陥って身動きできなくなる。正しく努力をすれば、リモートワークがもたらす困難の中でも、自分のマインドを効果的にコントロールすることがきる。


"Managing Your WFH Paranoia," HBR.org, April 28, 2021.