(3)難しい決断を受け入れる
判断を信用できない部下がいる場合は、その理由を理解し、対策を見つける努力をする。その部下に不足しているスキルはないか。追加で研修を行うのは有効だろうか。
あるいは組織に入ったばかりで、まだ慣れていないのか。要領を覚えるのにもっと時間が必要なのかもしれない。チーム内にメンターかバディ(相棒)を見つけてあげるのがよいかもしれないが、その場合には期限を設定する。
時には、採用ミスが判明する場合もあるだろう。最も難しいのは、本人の資質に問題はないが与えている役割が間違っているのか、それとも本人が組織自体に合っていないかの判断だ。
ここで足踏みしてはいけない。あなたと部下の両者にとって利益となるように、組織内で別の役割を見つける、あるいはどこか別の場所で新しい仕事に就くための支援をする。これにより、損失を削減するだけでなく、働きやすい職場として企業の評判を高めることにもなる。
(4)失敗しても安全な環境をつくる
善意の失敗に対して、深刻で不快な結末が待ち受けているとすれば、あなたの組織は「自己保身の文化」に侵されている。つまり、部下はあなたの意見を求めてやって来るのではなく、失敗した場合に備えて、あらかじめ責任転嫁する方法を探そうとしているのだ。これは成長を抑制し、組織の適応性を阻害する。
「ほめるのは人前で、注意するのは見えないところで」という古い格言を知っているだろう。チームメンバーの取った解決策が最善の結果をもたらさなかった時には、誰もいないところで個人的に話をすべきだ。
失敗は学習の機会だという考え方を強調しよう。チームメンバーには、失敗を教育の機会として活かすことによって、自分の決定に責任を持たせる。そこから得た教訓に注意を向け、肝に銘じさせるが、倫理にかなった誠実な判断であったならば、支持と共感を示すことだ。
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本稿で紹介した4つの戦略を実行すれば、直属の部下に仕事を妨げられるのを最小限に抑えることができ、リーダーの立場に求められる、熟考を必要とする作業に集中できる機会も増えるだろう。
その過程で、チームメンバーの自信や革新性、創造性を高めることにもなる。チームにさらなる自立を促せば、あなた自身もリーダーとしての能力が向上し、ひいては組織の成功にいっそう貢献できるようになるのだ。
"How to Get Your Team to Stop Asking You Every Little Question," HBR.org, June 07, 2021.





