専門家、研究者、政策担当者と協力して、父親たちを擁護・支援し、直接サービスを提供する非営利団体「ファーザーズ・インコーポレーテッド」のCEOである私は、働く父親、特に黒人の父親がこの問題にしばしば悩まされるのを目にしてきた。
私たちは団体の報告書「ブループリント:現代の黒人の父親にまつわるナラティブを再考する」で、黒人男性について言及し、身体的・精神的健康の格差は有色人種の父親、ひいてはその家族のウェルビーイングにとって極めて重要な問題として取り上げられることがめったにないと指摘している。
しかし、アドバイザリー・ボードが引用した調査結果によれば、「黒人男性は、他のどのデモグラフィックグループよりも有害健康転帰を経験し、45歳時点で、黒人男性の平均余命は非ヒスパニック系白人男性に比べて3年短い」。
ファーザーズ・インコーポレーテッドの報告書は、健康に関する重要な疑問にも答えている。「黒人男性の有害健康問題の決定要因を理解することがなぜ重要か」というものだ。病気になるとたいていの場合、ヘルスケアコストや医療費が増加する。貧富の差をすでに実感している低所得世帯は、莫大な医療費に苦しみ、経済状況が悪化するおそれがある。
たとえば、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、米国で黒人家庭が経験している医療格差を露呈した。
CDCによると、黒人は人口の約13%を占めるが、基礎疾患が原因で死亡した新型コロナウイウルス感染症患者に占める割合は全体の23%だ。基礎疾患が、人種による新型コロナ関連の死亡率の格差の一因になっていると、疫学者は指摘している。
こうした情報を知っているにもかかわらず、私自身も、私のような多くの男性も、セルフケアが抜け落ちてしまっている。皮肉なことに社会では、家族のために存在し、節目となるイベントや発表会、卒業式、結婚式、孫の誕生、人生の浮き沈みの両方に立ち会うことが、よい父親であることの条件の一つとされている。
男性は一般的に、短期的な視点から、壊れているものや機能していないものを修理する。私の場合、長期的な視点に立って、何かの予防に力を注ぐ余裕はない。人間関係、夢、目標など、メンテナンスが必要なものに対処しているだけだ。非常に残念なことだが、私たちは日々の暮らしがどのような状況にあっても、「いま、目の前のこと」だけに対処する習慣がついてしまっている。
しかし、この考え方を変えなければならない。私自身の生活と父親たちとの協働に基づいた、セルフケアを優先するためのヒントを以下に紹介したい。自分の健康について考えざるをえない状況になったことのない男性や後回しにし続けている男性、つまり「明日は必ず来る」と信じている男性にとって、これらのヒントがモチベーションになることを期待している。





