●変化の機会を受け入れる

 成功と長生きのために人生の軌道を修正しようと思い立つには、毎日が新しく絶好の機会だ。一朝一夕にはできず、困難であることを承知のうえで、私は変化への旅に乗り出す決意をした。

 自分がいない家族の暮らしを考えることの恐怖が、私のモチベーションを維持している。いまこそ、みずからの身体的・精神的健康を優先するために必要な軌道修正を行うべき時だと自分自身に言い聞かせよう。

 ●努力する

 セルフケアは意図的に行うものだ。たいていの場合、人の世話をするのは自然な反応だ。責任感や必要性、そして習慣の結果として行われる。しかしながら、男性は自分自身のケアについて同じようには考えない。誰かの責任だ、あるいは緊急ではないと考えて、その必要はないと思い込む。一貫したルーチンではないため、習慣化されることもない。

 とはいえ実際には、自分をケアする能力は自分自身が一番持っている。散歩をしたり、静かなドライブに出かけたり、素晴らしいテレビシリーズを観たり、親しい友人と一緒に過ごしたり、自分自身に注意を向けることで気分がよくなることなら、何でもやってみることだ。

 ●健康について人と話す

 私の場合、男性の友人との会話が、自分の健康について話すとともに相手にも健康に気を配るように促すきっかけとなった。それによって、他の男性も同じ考えであることを知った。

 ファーザーズ・インコーポレーテッドは現在、「#FatherhoodIsBrotherhood」と呼ばれるキャンペーンを実施している。これは「素晴らしい父親になるということは、ブラザーフッド(兄弟)のような友人同士の素晴らしいアカウンタビリティサークルに加わることだ」というメッセージを、他の父親たちに伝えるものだ。

 多くの人にとっては、こうしたサークルはすでに存在しているため、何らかの計画が必要なものではない。少人数グループで質問をしたり、アドバイスを求めたりするだけでよく、会話は自然に発生するものだ。人は助けたいと思っているが、あなたが助けを必要としていることは、あなたが求めない限りわからない。

 ●自分の重要性と自己価値を認める

 あなたには価値があり、自分が大切にする人リストに加えるのに値する。健康に関しては、知らないより知っているほうがよい。自分の体の声を聞き、思考に注意を払い、心の状態に気を配る。自分のことを一番よく知っているのは自分自身である。だからこそ、自分をケアする最大の責任を負えるのは、あなただけだ。

 私の場合、新型コロナウイルス感染症による入院という逆境にあって、希望の光もあった。休息することができたのだ。通常の生活では無視できたことについて、考えざるを得なかった。わずかながらも、自分自身や家族のためにもっと努力しようというモチベーションが生まれ、刺激にさえなった。

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 自分の健康を守れなければ、家族を助けることはできない。また、痛みを表現することや助けを求めることは、弱さとは違う。あなたの近くにいる人たちはあなたを助けたいと思っていても、あなたが教えてくれない限り、どうすればよいのかわからないことが多い。

 世界は最高の状態のあなたを必要としている。自分を大切にせずに、その求めに応じる能力を損うことのないようにしよう。


"How Working Dads Can Prioritize Self-Care," HBR.org, June 17, 2021.