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新型コロナウイルスのワクチン接種が拡大するとともに、オフィス再開に関する課題が浮き彫りになっている。出社勤務を歓迎する従業員がいる一方で、健康上の問題から対面での仕事に不安を覚えたり、家族のケアのために在宅勤務を続けたいと考えたりする従業員も少なくないからだ。しかし、出社勤務を再開するからといって、無理やりコロナ前の慣行に戻そうとすれば、生産性の低下や人材の離脱を招き、かえって逆効果になりかねない。本稿では、マネジャーが不安を抱える従業員に耳を傾け、懸念に対して手立てを講じ、柔軟性ある対応を取るために必要な専門家のアドバイスを紹介する。


 世界中で新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、オフィス勤務を再開する企業がますます増えている。近い将来に向けて、オフィス再開の計画を立てる企業も少なくない。

 自分のデスクに戻りたくてたまらない人にとっては、嬉しい知らせだろう。だが、対面での仕事に戻ることに不安を感じている人や、筆者のように葛藤を抱いている人にとってはどうだろうか。

 たとえワクチン接種が広く普及しても、やはり健康上の問題でリスクを抱える人はいるだろう。家族のケアのため、オフィスに戻りにくい人もいるかもしれない。在宅勤務のほうが幸福度が高く、生産性も上がることに気づいた人や、長距離通勤にこれ以上耐えられないという人もいるだろう。

 職場復帰に対する不安を抱える従業員に対して、あなたはマネジャーとして、どうサポートできるか。会社の上層部が求めていることだからと言い含めて、オフィスへの復帰を促すべきだろうか。あるいは在宅勤務を続ける必要があり、それによってキャリアに影響が出ることを心配している従業員に、そうした心配は無用だと確約すべきだろうか。

 これは誰にとっても、とりわけマネジャーにとっては未知の領域だ。そこで筆者は、中間管理職の役割や職場における思いやりについて研究する専門家数人に、アドバイスを求めることにした。

 専門家は異口同音に、すべての人にプラス面とマイナス面があると言った。ミシガン大学ロススクール・オブ・ビジネスの名誉教授でAwakening Compassion at Work(未訳)の共著者であるジェーン・ダットンは、「これまでのルーチンに戻り、同僚と会えることが、大きな癒しになる人もいます」と言う。その一方で、まだ準備が整っていない人もいる。

 いったいどうすればよいのか、お手上げだと感じるマネジャーもいるだろう。トロント大学ロットマンスクール・オブ・マネジメント准教授のジェイコブ・ハーシュが説明する通り、「中間管理職に課せられた仕事は、上層部からの指示に対する従業員の不安に対処すること」だ。

 これはつまり、自分のチームがオフィス勤務に戻るかどうか、戻るとすればいつからか、出社の頻度はどの程度かの決断を下すのは、中間管理職であるあなたではない可能性が高いことを意味する。そして、そのことが状況を一段と難しくしている。

 幸いなことに、あなたにできることがいくつかある。