
新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中ですら、従業員はオフィスで働くべきだと考える経営幹部やマネジャーは珍しくない。一方、通勤時間がなくなったり、同僚との面倒なやり取りが解消されたりと、リモートワークや在宅勤務を歓迎する従業員は多い。あなたがリモートワークを希望するチームを率いている場合、その要望をどのように伝えたら、上層部を動かすことができるのか。本稿では、そのために効果的な7つのアプローチを紹介する。
新型コロナウイルスのパンデミックが続く中、再開したオフィスに在宅勤務の従業員が戻ることが期待されている組織でいま、緊張が高まっている。
通勤時間が短縮され、気難しい同僚とのやり取りが減り、職場のその他の不満が解消した多くの知識労働者は、自由と柔軟さ、在宅勤務での生産性の向上を享受している。しかし、リモートワーカーを管理する能力に自信がないのかもしれない一部の上級幹部は、必ずしも同じ考えではない。
そうしたリーダーは、在宅勤務はかなり気が散漫になるとか、グループの創造性のためにならないといった事例を耳にしたのかもしれない。また、対面で集まれないことを「純然たる難点」と表現したネットフリックスの共同CEO、リード・ヘイスティングスと同じ見解なのかもしれない。
マネジャーとしてあなたはいま、厳しい状況に置かれているだろう。特に、この数カ月で新型コロナウイルスの感染者数が増加しているにもかかわらず、会社の上級幹部が、従業員が可能な限り早急に職場復帰することを考え始めているなら、なおのことだ。
幹部が在宅勤務に懐疑的な場合に、どうやってチームを支援することができるだろうか。効果的に主張し、誰もが納得できる合理的な対応策を提示するための7つのアプローチを紹介しよう。
●リーダーが重視するものに焦点を当てる
組織が安全性に関する政府の義務をすべて遵守している限り、従業員の出社が再開するかどうかは、リーダーの希望によって決まる可能性がある。これは従業員、特に家庭と両立している従業員や、健康や安全に不安を抱えている従業員には不公平に思えるだろう。
リーダーがこうした個々のニーズや動機に共感を示さない場合は、チームメンバーが高齢の親を感染の危険にさらすことを懸念しているなど、個人的な問題を議論してもリーダーの防衛心や嫌悪感を招くだけかもしれない。
リーダーが懸念していることに焦点を当て、リモートワークが会社にとって有益であることを示そう。たとえば、有能な従業員が育児や健康上のリスクを理由に退職するのを防ぐことができるといったことだ。また、リモートワークは、これまで地元で獲得できない、あるいは転勤が困難だった人材の採用に役立っていることを指摘してもよい。
●リーダーの懸念が個人的なものかを見極める
リーダーが1人か2人の従業員に対して否定的な感情を抱いていると、グループ全体に対する判断が鈍ることがある。気に入っていて評価している従業員に対しても、同じ懸念を持っているかどうかを尋ねてみよう。
筆者はこのテクニックを、従業員が「好き勝手に」怠けていると思っていたあるリーダーに使い、うまくいった。怠けていると思う人とそうでないと思う人を具体的に挙げてもらうと、非難をしてチーム全体を認めないのではなく、個人の不十分なパフォーマンスを改善するためにできることに焦点を当てられた。
また、実際に何らかの形でずる賢い行動を取っている従業員がいる場合は、おそらく人事部と協力して、チーム全体の力を損なうことのないように期待していることを明確にし、その従業員が皆と歩調を合わせるよう支援することが、マネジャーとしてのあなたの責任だ。