●働く場所にかかわらず、全従業員のエンゲージメントを強調する

 オフィスで仕事をしているほうが心から幸せな人もいる。その人がオフィスにいて安心できるなら、そうした「有志」の存在は従業員と直接対面したい幹部にとって心強い。

 職場にいる従業員とリモートの従業員両方が参加するビデオ会議にリーダーを招待して、リーダーにとって最も重要な優先事項に関する成果を強調しよう。地域の「タッチレス」な食品配達のボランティア活動や、業界団体のプロジェクトの先頭に立つなど、リーダーが特に関心を持っていることの成果を紹介するのだ。

 通勤時間が減ったり仕事が効率化したりして、従業員に新たな自由時間ができた場合は、その時間の一部をスキルアップやその他の能力開発に充てることも、会社と会社の目標へのコミットメントを示す方法の一つだ。

 ●ふだん通りと思える慣習を重視する

 リーダーの中には、自分がコントロールできない部分の変化によって、これまで頼りにしていた慣習が断ち切られると、喪失感を覚え、混乱する人もいる。そして無意識のうちに、その不快感をあなたのチームに投影してしまう。

 たとえば、上級幹部が日常的にチームとコーヒーを飲みに行っていたのであれば、以前のようなコーヒータイムをバーチャルで設定しよう。その際、たとえ従業員の自宅に備品を送る必要があったとしても、彼らが快適に過ごせる状況をできるだけ詳細に再現する。

 筆者のあるクライアントにとっては、週2回、お気に入りのビスコッティを配るなど、一見些細なことが「業務連絡」のミーティングをリラックスしたものにしていた。関係を強化することは、従業員にも利益をもたらす。

 組織のタウンホールミーティングや打ち合わせの機会がなくなっていたら、電話やビデオを使ってミーティングを復活させる。幹部がオープンオフィスの時間を再び設けたいと思っている場合は、自由に参加できるビデオ会議の開催を勧めるとよい。

 ●リーダーのコミュニケーション手段を反映させる

 従業員のデスクにやって来て指示を出したり、廊下で従業員をつかまえたり、通常は自分と話したい人が列を成すことに慣れているリーダーは、自分がオフィスにいるのにチームメンバーにすぐにアクセスできないと、軽視されていると感じることがある。

 リーダーのやり方と、リモートコミュニケーションのスタイルを一致させようとしても、おそらく満足できるものにはならないだろう。しかし、チームの対応力の高さを示すことができる。

 テーマごとに最も望ましい手段を具体的に尋ねて、時間帯や頻度の希望があるかどうかを聞いてみよう。チームメンバーにとって過度の負担にならないようなら、プレゼンスや期待に応えられることを示す方法として、リーダーの希望に対応するよう求める。