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新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、人々は大きな不安と悲しみを抱えながら日々を過ごしている。その状況に対処するうえで、「儀式」の実践が大きな効果を発揮する。それは宗教儀式ではなく、きわめて私的なものだ。本稿では、ハーバード・ビジネス・スクールのマイク・ノートン教授へのインタビューを通じて、なぜ儀式が有効なのか、どのように実践すべきかをひも解く。


 最近はこのようなケースが増えているようだが、私たちの一家もこの前、「バーチャル団欒」を行った。いつもの家族の夕食と同じように、ジョークが飛び交い、おしゃべりが盛り上がった。いつもと唯一違うのは、すべてが画面越しに行われたことだった。

 1時間ほど、笑いが絶えず、安らぎの時間を過ごすことができた。翌日さっそく、義理の兄弟から「今日のバーチャル団欒は何時に始まるの?」というメールが届いたほどだった。

 その自覚はなかったが、私たちは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う不安と悲しみに対処するために「儀式」を行おうとしていたと言えるだろう。このような儀式は、極度に激しい感情やストレスをマネジメントするうえで、きわめて強力なメカニズムだ。これは、いまのような時期に活用すべき方法論に思える。

 では、儀式とはどのようなもので、どのように実践すればよいのか。その点について、ハーバード・ビジネス・スクールのマイク・ノートン教授に話を聞いた。

 ノートン教授は、儀式の効果について研究してきた研究者だ。以下はそのインタビューの内容である(文意を明確にするために、発言の細部を整理していることをお断りしておく)。