Illustration by Shani Pleasants

新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、多くの人々が在宅勤務(WFH)を余儀なくされたが、実際に働き方や交流はどう変化したのだろうか。筆者らが米国の知識労働者を対象に、勤務日の時間利用に関する調査を行ったところ、パンデミックが起きる前と後では、いくつかの顕著な違いが見られたという。詳細なデータは、今後の働き方を再構築する必要性を示している。新たなWFHの現実に適応するためには、組織もマネジャーも、微細な変化であっても正しく理解しなくてはならない。


 新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、世界の労働者の大半が在宅勤務(WFH)を余儀なくされ、日々の通勤はほぼ完全になくなった。

 労働者は、浮いた通勤時間をどう再分配しているのだろうか。より一般的な問いとしては、WFHへの強制的な移行は、人々の働き方や交流にどのような影響を与えたのか。また、そうした影響はマネジャーとそれ以外の従業員で異なるのだろうか。

 これらの疑問に対する答えを見つけるため、筆者らは米国を拠点とする知識労働者約1300人の詳細な時間利用記録を調査した。これらのデータは2019年と2020年の夏に収集したもので、両者を比較することで、新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生以来、日々のスケジュールがどれだけ変化したかを検証することができた。我々が特に注目したのは、人々がいつ、どのくらいの時間働き、その際にどんな活動に従事したかだ。

 予想通り、WFHへの移行による最も明らかな影響は、通勤時間の大幅な減少(1日当たり41分)だった。しかし、浮いた時間の使い方は、労働者のタイプによって大きく異なっていた。独立従業員(管理上の責任を負わない従業員)は、その多くを個人的な活動に再配分していたのに対し、マネジャーは労働時間が長くなり、会議に費やす時間が増えた。

 マネジャーの場合、労働時間の増加は通勤時間の減少を相殺するに留まらない。1日の労働時間は平均56分増加し、メールの返信に費やす時間は13分増加した。こうした変化は、大企業(従業員数250人以上)に勤務するマネジャーの場合、さらに大きく、会議に費やす時間は1日当たり22分、メールの返信に費やす時間が16分増加していた。

 これらのデータは、特にマネジャーにとって、コロナ後の働き方を大幅に変える必要性があることを示唆している。新たなWFHの現実に適応するには、組織もマネジャーも、こうした変化の詳細を理解する必要がある。