調査結果

 米国を拠点とする多様な知識労働者の日々の活動に関する詳細なデータは、2019年8月(参加者615人)、2020年6月(同203人)、2020年8月(同545人)という3つの時期に収集した。参加者はおおむね、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きる前は通勤していた。

 参加者には、1週間で最も代表的な勤務日について、従事した主な活動(活動の種類、開始時間、終了時間)を記録してもらった。これらのデータから、回答者約1300人の活動について、2万件以上の開始時間、終了時間、継続時間、詳細な活動の種類を測ることができた。

 コロナ前とコロナ後のパターンを比較すると、以下のことが明らかになった。

(1)全体として通勤時間は41分減少し、個人的な活動、特に午前中の活動が37分増加した。回答者の多くは労働時間が17時以降まで延びていた。

(2)総労働時間は増加していないが、1日の労働時間のスパンが長くなった。2020年の全回答者では、最初に仕事を開始してから最後の仕事が終了するまでの合計時間が36.3分増えている。

(3)マネジャーと独立従業員では、1日のスケジュールの変化に大きなばらつきがあった。

・マネジャーは個人的な時間の増加は23分だったが、独立従業員は1時間以上だった。
・1日の労働時間のスパンについて、マネジャーは56分長くなったが、独立従業員に変化しなかった。

(4)マネジャーの労働時間の活動内容には大きな変化があったが、独立従業員は変化がなかった。

・マネジャーは、あらゆるタイプの対話型活動(対面やバーチャルの会議、ワークショップ、業務関連の電話など)に従事することが12%増えた。
・マネジャーは、メールを読み、返信するのに時間を費やすことが6%増えた。
・マネジャーは、仕事関係のランチや余暇活動に従事することが8%減った。

 こうした傾向は、大企業に勤務するマネジャーに特に強く見られ、調整する必要性が高いと考えられる。

 今回の調査では、メールやスラック、マイクロソフト・チームズなどのメッセージングプラットフォームを介して、日常的に行われているすべてのやり取りを把握することはできなかった。したがって、記録された会議時間の増加は、パンデミック下の交流やコミュニケーションの時間の増加の下限を示している可能性がある。