テクノロジーは、労働者が仕事の妨げになるものに対して弾力的な対応ができるように、タスクを整理するのに役立つ。

 たとえば、マイクロソフトリサーチのシャムシ・イクバルらは、テクノロジーを使って労働者が大きなタスクを小さなタスクに分解するのを支援し、いわゆるマイクロタスクを完了させることで、生産性の目標に向かって常に前進する方法を研究している。

 企業はまた、人間のアシスタントに匹敵するレベルまで高度化しようとしているAIデジタルアシスタントなど、組織的な支援策の追加を考えているかもしれない。

 デジタルアシスタントは、人間のアシスタントに即座にアクセスするのが難しく、調整の必要性が高まっている在宅勤務のマネジャーが、会議のスケジューリング、情報の発見、リソースへのアクセスの共有といった調整に関わるタスクを処理して、生産性を向上させる助けになるだろう。

 マイクロソフトのコルタナやグーグルのデュプレックスは、こうしたデジタルアシスタントの先駆的な例だ。

 最後に、そしておそらく最も重要なことは、新しいWFHの現実においては、それがどのような形であれ、従業員が仕事と私生活の健全な区別を維持できるように、組織が積極的に支援する必要がある。それは、過度な残業を避けたり、業務内容をより正確に評価したりするよう、従業員に注意を促すことかもしれない。

 奇妙なことだが、通勤をしていた時には存在していた仕事と私生活との間の強制的な境界線を、実質的に復活させる必要があるかもしれない。つまりこういうことだ。「通勤はなくなった! それでも通勤は不滅だ!」

本研究は、米国国立科学財団(NSF)の助成金によって一部支援されている。


HBR.org原文:Where Did the Commute Time Go? December 10, 2020.