従業員への影響
これらの変化は、従業員のウェルビーイングにどのような影響を与えているのか。また、新たな仕事のスケジュールは、WFHに対する選好も変化させているのだろうか。
驚くことに、私たちの多くが厳しい現実に直面している時にもかかわらず、回答者は、パンデミックの影響で全体的なウェルビーイングや前向きな気分でいる時間の割合が変わったとは感じていなかった。
それはなぜか。おそらく、多くの労働者(マネジャーも独立従業員も)が、WFHの新たな恩恵を感じ始めたからだろう。2020年の調査では、回答者の58%がWFHをパンデミック前よりも好意的にとらえていたのに対し、より否定的にとらえていたのはわずか13%だった。
しかし、いずれも選好の劇的な変化を意味するものではない。2020年の調査では、回答者の45%が3日以上の在宅勤務を希望していると答えているが、パンデミック前でも37%がそう感じていた。
本調査で明らかになった変化が、パンデミック後も持続するかどうかを判断するには時期尚早だが、少なくともその中のいくつかが持続することは明らかだ。最終的に、回答者のほぼ半数が、今後も主にWHFを選択したいと望んでいた。
では、この現実に最もよく適応するために、組織は何をすればよいのだろうか。
WFHの利点は労働者や企業の間で異なるという見解が、今回の調査で強化された。そのため、WFHへの移行が従業員間の交流の量、タイプ、質に与える微細な影響を理解することは、組織にとって不可欠だ。
たとえば、中枢部門が計画して、オンラインフォーラムやバーチャルな交流の場を導入するなど、トップダウンで御膳立てするのは得策ではないだろう。そうしたアプローチでは、バーチャルな集まりが増えることで、すでにWFHの新しい現実に適応している従業員に新たな負担をかけることになりかねない。
組織は、交流の量に焦点を当てるのではなく、その質を向上させるための対策を講じるほうが効果的だ。これはまさに、テクノロジーが大いに役立つ分野である。
たとえば、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などの新しいヒューマン・コンピュータ・インタラクション技術は、異なる場所(自宅やオフィス)に分散して働くチームメンバー間の遠隔交流の質を向上させる。ホワイトボードやシミュレーション、ソーシャルスペースなど、共有ツールへのアクセスを提供することも可能だ。同様に、従業員がそれぞれのWFH環境において、仕事のリズムや気を散らすものに適応できるようサポートすることも重要だ。