
在宅勤務が常態化する中、多くのマネジャーがリモートでの管理に苦戦している。部下が真面目に働いていないのではと不信感が強まり、過剰管理に走る人も少なくない。その結果、部下の生産性やモチベーションが低下するという悪循環に陥っている。本稿では、リモートワークにおけるマネジメントの実態を明らかにするとともに、この問題を解決する5つの方法を紹介する。
新型コロナウイルス感染症によって、多くのリーダーはリモートでのマネジメントを余儀なくされている。これには対面でのマネジメントとは異なるスキルセットが求められる。
リーダーはこの移行を短期間のうちに、ほとんど研修も受けずに行うよう強いられている。職種によっては順応しやすいことが証明されているものの、多くの業界はリモート環境にあまり適していない。そして多くの従業員の家庭生活には、(コロナ禍に伴う)大きな困難が生じている。
その結果、一部のマネジャーは以前よりも自分の役割に難しさを感じており、リモートへの順応に苦労する中で、部下の生活にも多くのストレスをもたらしている可能性がある。
コロナ禍以前から、テレワークの管理には特有の課題があった。
研究によれば、直属の部下を「見る」ことができないマネジャーは、部下が本当に仕事をしているという事実をなかなか信頼できない場合がある。このような疑いが入り込むと、マネジャーはその部下に対し、仕事にいつなんどきでも対応すべきという不合理な期待を持ち始め、最終的には相手の仕事と家庭のバランスを阻害し、仕事のストレスを増やすことになる。
今日起きている事態に目を向け、従業員が直面しているであろう数々の状況を――特に経済的困難を抱えている人や、世話をしなくてはならない家族がいる人などについて――考えてみれば、次のような仮説ができる。
一定数の従業員は、以前と同じ水準の成果を上げるのに苦労しているか、または生産性に多少の変化をきたしている。その結果、マネジャーは部下に不信感を抱いて過剰管理するようになり、それが部下のモチベーション低下を招いて生産性をさらに阻害するという、悪循環を生んでいるのではないだろうか。
筆者らの研究チームはこの仮説を検証すべく、2020年4月中旬から始まり現在も続く長期的調査に、世界中からリモートワーカーを招いて参加してもらった。
マネジャーと従業員双方の仕事、ウェルビーイング、生産性に新型コロナウイルス感染症がどう影響しているかを探るために、筆者らは92の質問項目から成るアンケートを作成した。その中には、仕事をいつ、どこで、どのように遂行するか選ぶ機会が与えられているか、仕事が家庭生活の妨げとなっているか、技術的な問題を経験しているか、などを問うものもある。また、意欲、精神的疲労、不安、情熱の度合いを計るために、仕事における心情を尋ねている。
24ヵ国に住む1200人以上が初回のアンケートに回答した。ここには製造、科学系、不動産、教育、金融サービスといった業界で働く人が含まれる。現在もこれらの参加者について、追加のアンケートを通じて追跡調査中だ。
予備調査結果によれば、多くのマネジャーが自身の役割に苦労しており、さらなる支援を必要としている。そして予想通り、質の高いマネジメントはリモートワーカーのウェルビーイングとパフォーマンスを向上させることも示唆されている。