●決断はエネルギーがある時に行う

 研究によれば、私たちが1日にできる決断には限りがあり、それを超えると適切な選択を行う能力を使い果たしてしまう。また、決断の質はエネルギーレベルにも左右される。

 決断すべきタイミングが迫っている場合には、1日のうちで最もエネルギーがあり、食欲が満たされ、疲れていない時間帯をカレンダーでブロックしておこう。もし可能であれば、自分と子どもが何を着て、何を食べるかといった小さな選択を前日のうちに終わらせて、判断力に余裕を持たせておくとよいだろう。

 ●安らげる場を持つ

 刺激が多すぎると、信号とノイズを識別する能力が低下する。経営者は、窓際に席を確保したり、お気に入りの散歩スポットがあったりする。少しでも落ち着いて自分の考えをまとめることができる場所を、自宅に確保しよう。

 寝室のお気に入りの椅子や、ポーチの日当たりのよい場所かもしれない。小さな子どもがいる場合は特に、バスルームで過ごす時間を少し増やすだけでもよいだろう。

 ●個人的な「取締役会」を編成する

 トップに立っているのが自分だけだからといって、自分一人で決断しなければならないわけではない。個人的な「取締役会」は、あなたの成功に時間や労力を注いでくれ、良い話も悪い話も教えてくれるとあなたが信頼する6~12人で構成される。経営者の場合、退職した同僚や以前の上司、コーチなどに頼ることが多い。

 子育て中の親にとって、同じような境遇の親を探すことは、カスタマイズされた検索エンジンを持つことと似ている。

 すでにあなたが悩んでいる問題について情報を持っていて、何らかのサービスを利用していてそれを勧めてくれたり、あなたが間違った方向に進んでいれば意見をくれたり、あるいはただ一緒にブレインストーミングをしてくれることもあるだろう。

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 子育てをしながら仕事をしていると、特にひとり親の場合は、難しい決断に見舞われても誰かに相談できるとは限らない。一人で抱え込んでしまうこともあるだろう。

 経営者は、自分自身で重要な決断をしなければならない時、油断することなく自制を保つことができるようにセルフマネジメントの習慣を確立しており、あなたもそれと同じことをすることができる。

 難しい選択をしなければならない時に備え、自分をサポートする方法を構築しておけば、考えている間も孤独を感じることなく、みずからの感情をコントロールし、最終的な自身の決断に納得できるようになる。


"Tough Parenting Decision? Take a Page Out of the CEO's Playbook.," HBR.org, July 16, 2021.