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今回は、第7回で紹介した事業の「稼ぐ力」を高めていくことについて掘り下げていく。投下資本利益率(ROIC)を分解していくのがポイントである。それは、売上高における数量や単価、あるいは売上原価における諸々のコストなどの財務指標だけでなく、工場の操業や店舗のオペレーションなどにおける現場での行動指標まで含めて、競合企業とのベンチマークを行いながら進められる。こうして特定される課題に対応することによって、稼ぐ力を飛躍的に高めていくことができる。
稼ぐ力はROICに表れる
これまで見てきたように、企業価値の創造は、事業から十分なキャッシュフローを生み出していくことによって牽引される。そのためには、戦略の軸に成長と稼ぐ力が据えられていることが重要であった。そして、ここでいう「稼ぐ力」とは、営業利益や当期利益、あるいは自己資本利益率(ROE)を指すわけではなかった。
PL&BS一体型思考の基で重要なのは、株主や負債の提供者という投資家から調達した資金による「投下資本」によって事業を運営することで、十分な水準の利益を生み出しているか、ということである。そして、このことを表す指標が、投下資本利益率(ROIC)なのである。