
グループで1つの文書を作成する仕事は困難を極める。参加者が思うままに編集していくと、気付いた時には変更履歴で真っ赤になり、ほぼ読めない状態になっていることは珍しくないだろう。本稿では、こうした悪夢を回避して、効率的かつ生産的に作業を進めるための13のポイントを紹介する。
仕事で文書の作成や編集、レビュー、承認に携わったことがあれば、グループ編集の難しいプロセスはよく知っているだろう。大人数のチームで1つのメッセージを同時に編集しようとする難しさだ。
ライター、編集担当者、プロジェクトマネジャー、そのテーマの専門家、エグゼクティブなど、グループ編集の参加者は基本的に善意で、たいていマイクロソフト・ワードの「変更履歴」ツールを使う。しかし、そうして生まれた文書は削除と批評とコピー・アンド・ペーストで血まみれで、元の原稿とは似ても似つかず、ほぼ読めなくなっている。
猫好きの同僚の言葉を借りれば、「みんながおしっこをかけないと気が済まない」のだ。
変更履歴などのグループ編集機能は、編集のプロセスに革命をもたらした。その進歩には感謝しなければならない。
ただし、これらのプログラムは、グループ編集の暗黒面に目を向けようとしない。反論を延々と重ね、専門知識や権限のレベルが競合し、過剰で細かすぎる指摘が続くうちに、編集中の文書をレビュー対象から外すことができるなら、プロジェクトマネジャーはどんな状態でも承認するだろう。
多くの人が猫をかわいがる中で、大人数による編集レビューが非効率とフラストレーションの泥沼にはまらないように、プロジェクトマネジャーはどうすればいいだろうか。グループ編集の効率と生産性を高めて悪夢を回避するために、13のポイントを提案したい。
●全員が同じページを見る
編集に携わる全員がコミュニケーションの要点を理解していなければ、レビューの過程で混乱や非効率は避けられない。プロジェクトマネジャーは、アイデアを思いついた人に話を聞き、要点を記録する。話のテーマについてだけでなく、その人の主張や提案、反論など要点を明確にして、レビューに参加する全員で共有し、編集の目的を踏まえて作業を進められるようにする。
トピックが詳細で専門性が高い時は、完成原稿のレビューを依頼する前に、総合的なポイントやアプローチについて専門家に早めに確認する。このように先手を打っておくと、段落ごとの内容だけでなく全体の指針に賛成しない人がいる場合も、将来的に多くのトラブルを避けることができるだろう。
●参加者を絞り込む
レビューのプロセスを簡潔にするためには、まず文書に直接関わる人数を絞り込む。より少人数のほうが、より効率的に作業ができる。意見が一致している場合も、人数が多すぎるとプロジェクトの進行が遅れたり、停滞したりしやすい。
レビューの参加者は効率を考えながら選ぶ。効果的なレビューとは編集であり、ブレインストーミングではない。つまり、やり取りではなく修正の内容に集中するのだ。ブレインストーミングは、1人よりも2人で考えたほうがいいとされる。しかし、文書のレビューは頭数が少ないほど好ましい。
●レビューに十分な時間をかける
レビューのプロセスでは、急かされることが何よりもフラストレーションになる。レビュアーと承認者にたっぷり時間を提供しよう。筆者は、1ページ以下のレビューや校正は3営業日、より広範囲のレビューは5営業日を目安にしている。ハードデータの抽出や更新、照合をする場合、さらに時間が必要かもしれない。
合理的なスケジュールを提供できない事情があるなら、その事情をレビュアーと共有し、時間を短縮する理由を承知してもらう。
筆者はある同僚から、原稿がまだ用意できていなくても、校閲作業があるかもしれないと前もって知らせてもらえれば、必要な時間を空けておけると言われた。素晴らしいアドバイスだ。
最後に、締切りはできる限り具体的に、日にちと時間を指定する。「来週の早めに」は、人によって「月曜日の就業時間が終わるまで」かもしれないし、「水曜日の午前中」かもしれない。さらに、締切りの「日時に」ではなく「日時までに」という表現を使って、早く仕上がればうれしいことを強調する。