子育てアライのネットワークを構築する

 子育てアライになってくれる人は、あなたが思っている以上に大勢いる。その多くは働く母親だ。彼女らは何十年にもわたり、働く親の権利を求めて戦ってきた。新世代の父親が新たな風を起こしてくれるのを、喜んでくれるはずだ。また、家庭と仕事の両立に苦労した覚えのある、子育ての先輩も味方になってくれるだろう。

 アライになる人の職位は問わないが、職場の育児休業制度に直接影響を与える人であれば、なお効果的だ。協力のあり方も、さまざまにある。あなたの考え方やアイデアの相談に乗ってくれる人もいれば、そのアイデアを広く伝える立場にある人もいる。

 以下に、会話を始めるためのステップをいくつか紹介しよう。

 ●父親としての生活を、苦労も喜びもすべて共有する

 仕事で成功して人気もある人が、同僚や顧客に対して、父親としての側面を完全に隠しているという話をよく耳にする。この姿勢は、周囲に伝染する傾向がある。

 これを克服するには、とにかく語り始めることだ。週末の出来事を話し、家族で出かけた時のことも話す。「読み聞かせの時間に間に合うように、今日は定刻で帰る」と告げる。おむつの交換での大失敗を面白おかしく話すのもよいだろう。

 子育ての日常について、ふだんから話をしていると、あなたが子育ての話題をタブー視していないことが同僚に伝わる。もっと小さい子どもを持つ同僚があなたにアドバイスを求めたり、大きい子どもを持つ同僚があなたにアドバイスをしてくれたりするかもしれない。

 いずれにしても、話し合える場をつくったのだ。あなたがマネジャーなら、父親としての生活を語る手本を示したことにもなる。

 その際には、二重の責任を背負うプレッシャーについても忘れずに言及したい。よき労働者であり、同時によき父親であることは、時としてバランスを取るのが難しいことを、誰もが素直に認められる雰囲気を醸成するのだ。

 ●バーチャル環境では「父親であること」を示すフラッグを掲げる

 リモートワークをしていると、キッチンで他の親に出くわすことはないが、原則は同じだ。たとえ、ズームやマイクロソフト・チームズで話をする場合も、基本は変わらない。背景に子どもの絵を飾ったり、プロフィール写真を家族写真にしたりしよう。たまには子どもを膝に乗せて、バーチャル会議に出席するのもよいだろう。

 子育て中の人や子育ての悩みに関するスラックのグループを立ち上げ、数人を招待し、口コミで広がるのを待つ。バーチャルで子育てに関する議論ができる場をつくるのだ。

 ●既存の会話に参加する

 組織の中に、すでに公式の子育てグループができている場合もある。母親や父親にとって、子育てに影響する職場の問題について話を始めることができる素晴らしい方法だ。

 筆者らも、子育てのネットワーキングイベントで「働く父親として、どのような課題に直面してきたか」を話してほしいという依頼を何度も受けてきた。職場の子育てグループは、母親が中心となって発足するケースが多いことから、話題も母親中心になる傾向があるようだ。アライとともに、このダイナミクスに変化をもたらすことができるだろう。