人種差別軽減の取り組みが
バイアスを助長する理由

 職場の人種差別をめぐって世間で抗議の声が上がり、従業員が疎外されていると感じれば、大きな弊害を生むことを示すエビデンスが増えている。これに対して世界中のリーダーが、自社のDEI、すなわちダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)を高めるための取り組みを行っている。

 そこで中心的な役割を果たしているのが、無意識バイアスを特定して是正する研修、「アンコンシャスバイアス・トレーニング」(UBトレーニング)だ。

 このトレーニングは、誰もが頭の中で近道をして短慮に走るものであり、相手の能力や性格について、人種やジェンダーを判断材料にしがちだという認識を高めるものだ。その狙いは、新規採用や昇進に関する意思決定から顧客や同僚との接し方に至るまで、職場における態度や行動からバイアスを減らすことにある。