仕事復帰プログラムの意義

 ここ数年アマゾン・ドットコムは、仕事から2~3年ほど離れていた中堅専門職者を採用する実験的プログラムを実施してきた。最初はこの巨大オンライン小売企業も、他の大半の企業と同様、一度に数十人の人材を試験的集団として採用するという小規模な取り組みからスタートした。しかし、2021年6月、同社は驚くべき発表をする。この仕事への復帰プログラムを拡大して、1000人の復帰専門職者を採用するというのだ。これは他社のどのプログラムとも桁違いの規模である。参加者は16週間の有給プログラムの中でコーチングやメンタリングを受け、修了時には正社員に採用される可能性がある。

 アマゾンのシニア・ダイバーシティ人材獲得プログラムのマネジャー、アレックス・ムーニーは、次のように語る。「私たちは、キャリアを再開する専門職者の採用に特化した、専任チームを結成しました」。また、アマゾンの採用担当者たちは、履歴書に空白期間があることやスキルが時代遅れになっている可能性などに疑いの目を向けるのではなく、候補者の将来性に注目するよう指導されている。

 アマゾンの取り組みの規模は前例のないものだが、仕事への復帰プログラムは新しいものではない。元をたどれば20年近く前に始まった取り組みである。