太陽光発電だけの問題ではない
同様の問題は、太陽光以外の再生可能エネルギー関連のテクノロジーでも切実なものになりつつある。たとえば、廃棄物の処理能力が大幅に向上しない限り、向こう20年間で米国のゴミ処理場に運び込まれる風力タービンの巨大な羽は72万トンを超すと見られている。
一般的な推計によれば、電気自動車用バッテリーのうち、現在リサイクルされている割合は5%にすぎない。電気自動車の売上げが毎年40%というペースで増加する中で、自動車メーカーは早期にこの状況に対処しようとしている。
これらのグリーンテクノロジーと太陽光パネルの唯一の大きな違いは、太陽光パネルが消費者に収益をもたらす点だ。そのため太陽光パネルに関しては、パネルの生産者と最終消費者の両方を満足させる必要がある。
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本稿で取り上げた問題があるからといって、再生可能エネルギーの将来性に深刻な疑問が生じるわけではない。科学的知見は明白だ。現在と同じように化石燃料に依存し続ければ、私たちは未来の世代に、激しく痛んだ地球を――ことによると死につつある地球を――引き渡すことになる。
太陽光パネルを取り巻く経済的状況が安定し、消費者が太陽光パネルを早期に(製品寿命が訪れる前に)買い替える必要を感じなくなるまでには、40年ほどの年月を要するだろう。それが現実になった場合の恩恵の大きさ(と実現しなかった場合のダメージの大きさ)を考えれば、40年というのはけっして長期間とは言えない。
しかし、高尚な目的があっても、それだけで再生可能エネルギーへの移行が容易になるわけではない。さまざまな業種の中でも、再生可能エネルギー産業ほど、廃棄物に対して近視眼的な態度を取ることが許されない業種はない。
サーキュラーエコノミー(循環経済)に移行するための戦略を打ち出すことが不可欠だ。そして、その移行は早ければ早いほど好ましい。