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バーンアウトの問題が深刻化しているが、最新の調査結果から、女性は男性に比べて深刻なレベルにあることが明らかになっている。さらに女性マネジャーの場合、チームの仕事量を管理したり、DEIの取り組みを推進したり、メンバーのケアに力を注ぐ可能性が男性マネジャーよりも高い。そのため、チームの状況は改善されても、自身は燃え尽きのリスクを抱えたままだ。にもかかわらず、企業はこうした努力を認識せず、評価の対象としてインセンティブを与えることもない。このままでは、いままさに必要としているはずのリーダーを失いかねない。本稿では、こうした状況を改善し、マネジャーのバーンアウト対策をサポートするために、企業がいま起こすべき3つのアクションを論じる。


 バーンアウト(燃え尽き症候群)は現実に起きている問題であり、状況は悪化している。その数字は、男女とも気が滅入るものだ。

 米国企業で、この数カ月に燃え尽きを感じた人は、女性の42%、男性では35%に達した(2020年は女性が32%、男性は28%だった)。また、女性の3人に1人が、キャリアのダウンシフトか離職を考えていると答えた(2020年は4人に1人の割合だった)。

 これらの数字はいずれも、マッキンゼーと非営利組織リーンイン・ドット・オーグが毎年発表し、職場における女性活躍に関する報告書「ウィメン・イン・ザ・ワークプレイス」の最新版に基づく。同報告書は、米国の6万5000人以上を対象に行った調査をまとめたものである。

 筆者らの調査によれば、女性は自分自身のバーンアウトのレベルが深刻化しているにもかかわらず、自分のチームの仕事量を管理したり、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)の取り組みをサポートしたり、従業員の様子を日々確認したりするなど、バーンアウト対策に取り組む割合が男性よりもずっと高い。

 こうした努力は大きな影響を及ぼす。たとえば、マネジャーが自分のチームの仕事量を積極的に管理すると、そのスタッフが燃え尽きる可能性は32%低下し、離職する可能性も33%低くなることが明らかになっている。

 しかし、企業は総じてこのような努力を認識せず、評価の対象としてインセンティブを与えることもない。これでは企業がまさに必要としているリーダーを、いますぐにでも失うおそれがある。

 調査を行った企業の87%が、マネジャーが従業員のウェルビーイングをサポートすることは「非常に重要だ」もしくは「極めて重要だ」と答えたが、そのために実際に行動している企業は25%にすぎなかった。

 この状況を改善するために、企業は、スタッフと最も近しい監督役である現場マネジャーに十分な投資を行い、必要なリソースを日々提供しなければならない。

 実際、従業員を管理するマネジャー、特に女性マネジャーは、従業員を管理しないマネジャーと比べてバーンアウトに陥る可能性が高い。したがって企業は、重要な時期にスタッフを率いる立場に昇進したマネジャーの重圧を緩和し、会社に引き留める必要がある。

 マネジャーのバーンアウト対策をサポートするために、企業は3つのアクションを起こすことができる。