●目的を明確にする
生産的な緊張を生み出すことは、危険でやっかいな仕事だ。危険を冒してまで崖っぷちに立ち、他のメンバーにもそれを促す理由は、明確な目的を実現するためにほかならない。
チームの熱を高める必要がある理由を明確にしておけば、チームを非難している、チームの仕事を疑っているなどと言われることはない。たとえば、このように告げよう。「今年は数字を2倍にするのが目標です。現在の数字を達成するための考え方では、結果は変わりません。チームの話し合いの方法やアイデアの出し方を変えてみましょう」
自分やメンバーがその目的を意識することで、集団で達成しようとしていることに集中し、誰かが傷ついたり、感情論に発展したりするのを防ぐことができる。
●行動データを解説する
会議中にどのような行動が目立つかを観察しよう。たとえば、筆者は幾度かのエグゼクティブリトリートで、次のような指摘をしたことがある。「4つあるセッションのすべてで、女性が書記を務め、男性が発表していました」。こんな言い方もできる。「2時間経過しましたが、このセッションでは、43人中17人がまだ発言していません」。このような小さな介入を行うと、その場のダイナミクスに対する意識が高まる。
データを通じて、議論の口火を切るのは誰か、特定の人に対する反応、誰がいつ誰の話を遮るかというパターンが見えてくる。具体的なデータを示して、そのようなパターンを指摘しよう。たとえば、「この30分間、製造部門の人が話を始めると、エンジニアに必ず遮られています」「誰かがスケジュールの遅れを指摘すると、別の誰かがすぐに説明をしますが、解決策を提案する人はいないようです」などだ。
データとそこから見えてくるパターンが明らかになると、グループは自分たちの思い込みを正して、悪習がはびこる状況を打破し、創造性を高めることができる。