●自分の視点に立つ

 境界線を引くためには、「私」を主語にして自分の考えや感情を表現し、自分自身がどうしたいかを基軸にすることが欠かせない。つまり、二人称ではなく、一人称で話すことが重要になる。具体的には、次のように伝えることができるだろう。

・「締め切りに追われているので、私はいま話すことができません」
・「私が最高のパフォーマンスを発揮するには、集中する時間が本当に必要なのです。ご配慮に感謝します」
・「仕事に追われているので、いまお話ししても、私には考える余裕がなく、思うような貢献はできないと思います。来週ではいかがでしょうか」
・「たしかに、私はこれまで、この件をサポートさせてもらいましたが、いまは必要があって別件を優先しています」
・「これを言うのは緊張しますが、私はより自分らしくコミュニケーションを取る努力をしています。自分の考えをそのまま言うと、あなたとの会話にバランスの悪さを感じてしまうのです。どうすれば改善できるか、話し合えないでしょうか」

 ●会話の時間を限定する

 職場のおしゃべりな同僚や部下は、あなたに質問したり、助言や指導を求めたりするために何度もやって来る。そのような場合は、常にじゃまされることがないように、あなたに向けられる要求を合理化するシステムをつくる。

 筆者のクライアントの多くは、「オフィスアワー」を設けることが有益だと考えている。つまり、チームメンバーが予約なしで相談に来てもよい時間帯を、あらかじめ決めておくのだ。そうすれば同僚や部下に声をかけられた時、次のように返すことができる。

「それはよいテーマだから、もっと話したいですね。月曜日午後3時のオフィスアワーで話をするのはどうでしょう。その時間帯は、こうした案件のために空けてあります」

 ●大局的な話し合いをする

 相手のおしゃべりの度合いによっては、いずれより広範なフィードバックと話し合いが必要になるかもしれない。そのおしゃべりが業務の遅れや生産性の低下、あるいは顧客体験の劣化など、あなたやあなたのチームに極めてネガティブなインパクトを与えている時は、その実践が非常に重要になる。

 そのような場合はまず、仕事仲間との関係性に対する期待をリセットする機会だととらえよう。あなたの勤務時間や空き時間、会議のアジェンダの組み立て方、互いが最善の仕事をするために必要な条件などを見直すことだ。

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 職場で一緒に働く同僚や部下を含めて、他者との間に境界線を引くのは難しい。だが、それは自分に自信をつけるための練習になる。なぜなら、あなたが自分の境界線を主張するたびに、みずからの欲求、志向、エネルギーが重要となり、それらは相手と同じように価値があるものだと、自分自身に証明することになるからだ。


"How to Set Boundaries with a Chatty Colleague," HBR.org, November 19, 2021.