感謝の気持ちをどう表すのがよいか
何をどのように言うかが重要だ。「ありがとうございました」というシンプルな言葉は最初のステップとしてはよい。しかし、それをメールの結びとして頻繁に使っていることを考えると、言葉としてのインパクトは薄れているだろう。
むしろ、具体的に何に感謝しているのかを伝え、自分にとってそれがどれほど意義深いものであったかを説明し、相手のどの部分に感謝しているのかを示すのがよい。
誰かに感謝の気持ちを表すとして、それをいつ伝えるべきだろうか。簡単に答えるなら、まさに「いま」である。ポジティブなインパクトを促した行為に対しては、できるだけ速やかに感謝の言葉を伝えたいものだが、感謝するのに遅すぎるということはない。
唯一、注意すべき点は、あまり頻繁に感謝の言葉を伝えすぎると、それが当然のことだと受け止められ、言葉が軽んじられたり、まったく意味がないものになったりしがちだということだ。
もちろん、スラックやメール、テキストメッセージでも感謝の言葉を送ることはできるだろう。筆者は個人的に、このような手段を好み、自分が受け取った称賛や感謝のメッセージを1つのフォルダにまとめ、絶不調の日にはそれを読むことにしている。
一方で、手書きのカードを送ることも検討してほしい。そうすれば、あなたが自分の思いを伝えようとして、特別な手間をかけたことが相手にも伝わる。また、電話やビデオ通話で手軽に感謝の言葉を伝えることもできる。ただし、その場合は相手に対して、あなたの感謝にただちに反応しなければならないというプレッシャーを与えることになる。
どの手段を選ぶにしても、少し時間を取って、何に対して感謝しているのか、相手の行為があなたにどのような影響を与えたのかを考えよう。そうすることで、あなたのメッセージが具体性を帯びてくるはずだ。
ビヨンド・サンク・ユーの創業者であり、従業員への感謝の伝え方に詳しいクリストファー・リトルフィールドは、メッセージの始め方に関していくつかの例を紹介している。
「週末に前回のプロジェクトについて振り返っていたのですが、あなたにまだ感謝の気持ちを伝えていないことに気づきました」
「このところ、あまりにも立て込んでいたので、あなたの素晴らしい仕事振りに感謝を表す時間を取っていなかったと気がつきました」
あるいは、次のように言ってみることもできるだろう。
「休暇中に今年お世話になった人たちのことを考えていたら、あなたのことが思い浮かびました」
リトルフィールドは、何に感謝しているのかを伝える例も挙げている。
「先日、私がプレゼンテーションを行った後、あなたから率直なフィードバックをいただきました。勇気のいることだったと思います。そのことに心から感謝しています」
感謝の理由としては、次のように言うことができるだろう。
「私はいつもフィードバックがほしいと思っていますが、『素晴らしかった』以上に踏み込んだことは、なかなか言ってもらえないものです。あなたのフィードバックのおかげで、プレゼンテーションを見直し、具体的に取り組むべきことがわかりました。これこそ、私自身が成長するために必要としていたものです」