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ジェンダー不平等の解消に向けて、企業はさまざまな取り組みを行なっているが、女性の採用を増やしても、女性の定着という点では努力が不足しているのが現状だ。その理由の一つとして、パフォーマンスに関する公平で客観的なはずの相対評価が、むしろ女性の定着を妨げている可能性を筆者らは指摘する。「男性のほうが高いパフォーマンスを上げる」「女性は他者を傷つけないことを優先する」という思い込みから男女に異なる影響を与え、パフォーマンスに差が出るというのだ。本稿では、相対評価がもたらすインパクトを論じ、競争環境で女性の妨げにならない仕組みを構築するための3つの有効策を紹介する。


 採用におけるジェンダー平等の問題を改善するために、数多くの取り組みが行われてきた。しかし残念なことに、そのようなイニシアティブは採用候補者に女性が増える一助にはなるが、女性の定着と成長という点では不足していることが多い。

 当然ながら、それには多くの理由がある。だが、この課題がいまもなお解決には至らない重要かつ全般的な要因の一つとして、パフォーマンス評価と昇進の決定に関する企業のアプローチが挙げられる。