継続的な自分事化ファシリテーション活動

 コニカミノルタでは、執行役員ヒューマンエクスペリエンスデザインセンター長の平賀明子氏に取り組みを聞いた。

 同社は要件(1)については、人間中心の価値創造の思考により、その存在意義を高次に実現させることを使命としたデザインセンターが中心になって展開している。継続的な自分事化ファシリテーション活動を通し、各社員が成し遂げたいことと経営ビジョンとの接続を図っている。同社と顧客のサクセスストーリーを結び付け、共創関係を高めている。また、事業の柱となるプラットフォーム「FORXAI」ブランドをデザイン主導で開発し、事業部と共に立上げを推進している。

 要件(2)については、デザインセンターがコニカミノルタデザイン思考を独自のメソッドとして創り上げ、イノベーション実現のコアコンピタンスの一つとして位置づけ、社内浸透を推進している。全部門にコニカミノルタデザイン思考の実践者・推進者・指導者を配置し、全ての事業で人と社会のための高い価値創造につなげるべく先導している。コニカミノルタのデザインフィロソフィー「美しき解。」は、全ての商品デザイン・サービスデザインに込められ、社内と共に顧客からの共感を得られるためのデザイン哲学となっている。

 要件(3)については、予算や業績など数値目標以外に、定性的だがリアリティを感じ価値を評価できるストーリーやプロトタイプなどのアウトプットを創り上げる活動を通して、人間中心の価値と経済性が両立する企業風土への変革を進めている。製品やサービスを企画からローンチまで8週間前後で高速に終えるためのKM流MVaP(Minimum Valuable Product)メソッドを開発し、その実行を社内に浸透させようと試みている。人間中心の価値を定量的に捉える試みとして、顧客との信頼関係の強さを測定する指標化にも挑戦している。