ARTの力が大事と考える人材を会社全体に配置
ヤマハ発動機では、執行役員クリエイティブ本部長の長屋明浩氏にインタビューした。
同社は要件(1)については、2030年長期ビジョンに「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」を掲げ、そのストーリーを社内全体に浸透させている。サイエンス偏重に陥りやすい日本企業において、ART(アート)を生み出すことは人間にしか出来ないという考えの元、現場判断のスピードを上げ、「感動創造企業」というヤマハらしさを体現している。社会課題に対して上記の考えで取り組み、その過程を通してヤマハらしさを体験する。そうした場を作ることを、クリエイティブ本部の役割と捉えている。
要件(2)については、デザイン力を特殊なものと捉えず、誰にでも備わっている能力として、現場への定着を図っている。ARTの力が大事と考える人材を会社全体に配置し、一般にデザインから遠いと考えられがちな製造部隊も率先して共感を得られるように動くように促し、会社の中で異質感が持たれたり軋轢が生まれたりしないようにしている。
要件(3)については、事業展開において、ソロバン(採算)に偏らずロマンを大事にして、分かりやすくストーリーで伝えることを大切にしている。数字ばかりを気にするロジカルのみの経営では限界があり、どうしたいかという目的に基づく経営をすることがARTであると定義している。目的なき経営にならないようストーリーと定量数値を両立させている。