Beatrix Boros/Stocksy

株主第一主義からステークホルダー資本主義への転換を実現するために、企業には自社のビジネスを通してESG(環境、社会、ガバナンス)を推進することが求められている。しかし、それを実践するのは容易ではなく、もし進め方を間違えると競争力を損なう可能性すらある。本稿では、ESG戦略の構築を目指す企業が回答すべき10の質問を提示する。


 ビジネス・ラウンドテーブルが2019年に行った極めて重要な意思表明──財務上の株主を優先する方針から、より広範なステークホルダー資本主義への転換──と、自社のビジネスにおいてそれらの目標を実践的で測定可能、かつ追跡可能なESG(環境、社会、ガバナンス)の取り組みに反映させる方法をめぐり、企業は頭を悩ませている。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、世界のESG資産は2025年までに53兆ドルを超える可能性がある。

 筆者は10年以上にわたり、複数の企業で取締役を務めてきた。その経験を通して、ESG戦略を構築する際には、すべての企業が以下に挙げる10の問いに対処すべきだと確信している。それができなければ競合企業に追い越され、極端な話、消滅してしまう可能性もある。