3つのベストプラクティス
(1)事前に戦略を練る
プレゼンする際には準備の段階で必ず3つの質問をするように、筆者は教えている。「聴衆は誰か」「目的は何か」「なぜ自分(たち)なのか」だ。
グループプレゼンテーションの場合は、グループでこの質問に答えることが重要だ。最後の「なぜ自分たちなのか」は、「なぜ自分たちにとって重要な問題なのか」という意味だ。そのテーマに対する個々の動機を共有し合うことで、チームの結束力を高めることができる。
グループプレゼンテーションの予定をカレンダーに追加する際は、同時にグループでの準備に必要な時間枠も確保しておく。この時間を利用して、扱うトピックに関する聴衆の知識レベル、プレゼンの具体的な目的、主要なメッセージ、全体のアウトライン、各セクションを誰が発表するかなどについて合意を形成してから、各自の担当パートを書き始めよう。
そうすれば、直前になってスライドを統一しなければならないストレスを回避できる。また、誰がどのような質問に対応するのか、あるいはチームの中で誰が質問を受けて、適切な人に振るのかを決めておこう。
(2)全員で練習する
プレゼンの前に時間を設けて、スライドを投影しながら通し稽古をする。具体的には、次のように発表者の交代方法を練習する。「ここまで、ステイシーから新市場の参入に伴う課題を説明させていただきました。次は、私から弊社の強みに基づく解決策を、いくつかご提案いたします」
タイマーを使って決められた時間内に収めるようにするか、会議の形式に応じて現実的なタイムリミットを設定して、質問に答える時間を十分に確保する。メンバーが一緒にスライドを見直す時間を設けて、言葉遣いやフォント、グラフィックの使い方などが統一されているかを確認しよう。
(3)自信を持って自分らしくプレゼンする
グループプレゼンテーションの本番を迎えたら、組織を最も代表するメンバーが最初の発表者を務め、後輩には途中で発表する機会を与える。これにより、強烈な第一印象を与えられると同時に、新人スピーカーの重圧を軽減できる。
プレゼンを対面で行う時は、スライドを見せながら、聴衆に向かって話せる位置に立つ。プレゼンには個性を反映させよう。たとえば、「私と同じカリフォルニア出身の方ならおわかりになると思いますが」などと言ってみる。個人的な話題で聴衆の共感を呼ぶことは、発表するメンバー一人ひとりが聴衆と信頼関係を築く、これ以上ない方法である。
それでは、バーチャル環境になると何が変わるのだろうか。
ここまでのアドバイスはすべて、バーチャル・プレゼンテーションにも当てはまる。その中でも、実際に使用するバーチャル・プラットフォーム上で通し稽古を行うことが重要だ。
バーチャル環境では全員が画面を共有せずに済むように、担当者を1人決めて、その人が一貫してプレゼンのスライドを操作するようにする。各スピーカーの背景はプロフェッショナルな印象を与えるものにして、顔に十分な照明を当て、声がはっきりと聞こえるように注意する。
バーチャル・プレゼンテーションの準備については、こちらの動画を参考にしてほしい。話をする時は、カメラのレンズをまっすぐ見て、聴衆があなたの目線を感じられるようにする。自分が話さない時は、周囲の雑音が話し手のじゃまにならないようミュートにする。
グループプレゼンテーションがうまくいけば、チームの力や仕事の質の高さを示すことができる。この強力な機会を利用して、聴衆との信頼関係を築き、ひいては組織の成功につなげよう。
"3 Group Presentation Pitfalls - and How to Avoid Them," HBR.org, November 22, 2021.