管理職を巻き込む

 研修が必要だと判断したら、管理職の支持を得ることが不可欠だ。

 最近、HPWPのチームはある大企業のCHROと仕事をした。経営陣は管理職が次世代のリーダーを積極的に育成することを望んでおり、人材開発部門は研修の計画を作成していた。ただし、管理職がこのタスクを優先的に行うための時間配分に注目した研修はなかった。

 そこで、行動を起こす前に次の点を考えてみよう。

・なぜ管理職は従業員を成長させて昇進に導くことに、あまり積極的ではないのか。おそらく現在の仕事量を考えた時、その優先順位が高くないからだ。
・なぜ優先順位が低いのか。そのことを自分の上司から言われていないからだ。
・なぜ上司は従業員の能力開発について尋ねないのか。管理職がやっている、重要なことだとわかっていると、思い込んでいるからだ。

 研修を通じて従業員の能力開発のプロセスを提供することは、たとえよいステップであっても、シニアリーダーが優先事項であると明確に、繰り返し説明しない限り、それが主要なステップとして実践されることはないだろう。

 管理職に対して、研修の参加者とフォローアップミーティングの予定を組むことを推奨しよう。「何を学んだのか」「学んだことをどのように応用できそうか」など、熟考と実践を促すような質問をさせる。また、専門性を高める研修では、キャリアアップに関する対話も必要になる。

 これまでシニアリーダーは、「研修で解決できる」 という考え方が習慣になっていた。しかし、ほとんどの場合、研修は問題解決の答えにならない。シニアリーダーとして、本当の問題は何かを探りながら、クリティカルシンキングを実践しなければならない。実はパフォーマンスの問題ではなく、人員配置の判断ミスや不明瞭な指示など、仕事のやり方に原因があるかもしれない。

 研修は時間的にも金銭的にもコストがかかる。マネジャーは他の投資と同じように、予想される投資利益率に留意しなければならないのだ。


"More Training Won't Solve Your Company's Problems," HBR.org, February 22, 2022.