(4)コミュニケーションを拡張する
情報を広めるために、オフィスでは1日に何百回と1対1の対話が交わされる。これは小規模な職場ではコミュニケーションの手法として有効かもしれないが、従業員が分散して働いているとうまく機能しない。
そこでリーダーは、会社の鼓動を伝えるために、文書や録画したメッセージでやり取りを行う文化を発展させなければならない。たとえば、定期的にニュースレターを発行する、週明けにその週のメッセージを録画で配信するといった方法がある。
より小規模なところでは、チームが達成した成果を定期的に広めるという試みもある。最初は、自分たちが取り組んできたことを要約して、チーム内で発表するのもよい。最終的にはその情報を、たとえば部門内の他のチームと共有することもできる。共有の文化は、さらなる共有を促進する。
(5)成功のためのツールを提供する
効果的なリモートワークには、全員が同じツールにアクセスでき、そのツールを使用できることが必要だ。グーグル・ドキュメントのようなコラボレーション用のソフトウェアは、複数の参加者が編集やコメントできる。ミロのようなドローイングツールは、リモートで作業をするグループが1つのホワイトボードを囲んでいるかのように、一緒にスケッチしながら共同作業ができる。
従業員が自宅からアクセスする際の物理的環境を整えるために、ツールを提供することもできる。パンデミックが発生した時、多くの従業員がノートPCを1台持つ以外ほとんど何もないまま、自宅で仕事をすることになった。人間工学的に配慮されたオフィス家具やワイドスクリーンモニター、優れたAV機器を利用できた、パンデミック前のオフィスの代わりとしては貧弱な環境である。
最近は多くの企業が、自宅のオフィス環境を改善するための在宅勤務手当を支給し、数千ドル相当を提供している例もある。全面的なリモートワークを導入している企業は、オフィスの賃貸料がなく、このような出費も負担しやすい。
ただし、従業員に対するサポートが不要になるという意味ではない。ハイブリッドワークが選択肢の一つならば、従業員がどこにいても成功できるようにすることが企業の責任である。
1%の改善を目指し続ける
これら5つの柱は、成功をもたらすハイブリッド文化を築くための出発点にすぎない。実際には、ハイブリッド文化へスムーズに移行できるかどうかは、多くの小さな習慣を毎日変えていこうとするマインドセットの問題だ。
すべての人をリモートワーカーとして扱うという原則を忘れず、それを毎日実践することで、労働環境が少しずつ改善される。ハイブリッドな職場がニューノーマルになるにつれ、5つのポイントを少しずつ改善していくことが、パンデミック後の世界で機能する企業文化を形成するうえでカギを握る。
"What Great Hybrid Cultures Do Differently," HBR.org, March 16, 2022.