
在宅勤務とオフィス勤務を融合させたハイブリットワークを採用する企業が増えているが、単に労働形態が変化しただけだと捉えていたら機能しない。すべての従業員をリモートワーカーとして扱い、誰もが同じ条件で働くことのできる環境を整えるべきだ。本稿では、ハイブリッドワークを成功させるために、優れた組織文化を構築する5つのポイントを紹介する。
パンデミックで加速した在宅勤務の波は引き始めているが、多くの人がリモートワークの利便性と柔軟性に慣れて、継続を求める声が高まっている。一方で、多くの企業がオフィス回帰を推し進めている。その妥協点として増えているのが、対面とリモートのチームを融合させたハイブリッド型だ。
マッキンゼー・アンド・カンパニーが企業幹部800人を対象に行った調査は、これからハイブリッドが主流になる可能性が高いことを示唆している。コロナ禍の前からハイブリッド型のチームや企業を率いてきた筆者らの経験から言えば、これは出勤する日とリモートで働く日を決めるような単純な話ではない。
ハイブリッドの文化は、すべての人をリモートワーカーとして扱うことによってのみ発展する。つまり、ベルリンのオフィスに座っている人も、ジャカルタのコーヒーショップや東京の寝室で仕事をしている人も、全員が同じ情報と人とツールに、そして成功するための機会にアクセスできなければならない。
これはシンプルだが、一筋縄ではいかない。実現するためには、次の5つの領域で、リーダー層が一貫して行動する必要がある。
(1)非同期のコミュニケーションを活用する
分散して働く従業員とコミュニケーションを取る場合、特にグローバルに分散している場合は、全員が平等に会話に参加できるような配慮が必要となる。これは一般に、次の手段のいずれか、あるいは複数の組み合わせで実現できる。
・同期のやり取りを意図的に非同期に変える:チームメンバーの間に時差が存在する場合は、書面や録画によるコミュニケーションに移行する。たとえば、毎日のスタンドアップミーティングを、チャット上の簡潔な報告や、ドキュメントのコメント欄を利用した議論に置き換える。より大きな規模では、全社会議の前にCEOに対する質問を募集し、ライブで質疑応答をする代わりに録画で答えることもできる。
・同期のやり取りの後に、テクノロジーを利用して、共有できる成果物を作成する:複雑な問題や緊急の問題を議論するために、同期のミーティングが必要な場合もある。しかし、いまの時代はズーム会議の録画、グーグル・ドキュメントで共同編集した議事録、ビデオ通話のトランスクリプトの自動生成など、共有可能な成果物を簡単に作成するためにテクノロジーを活用できる。