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人工知能(AI)の進化で新たに出現したビジネスモデルを謳歌しているのは、ほぼ例外なくデジタルネイティブ企業だ。しかし、レガシー企業やR&D予算の乏しい中規模企業も、彼らのように「マルチサイド・プラットフォーム」を築くことは可能だ。自社のエコシステム全体でデータとAIモデルを活用し、顧客向けにサービスを提供できれば、デジタルネイティブのプラットフォーム企業と同様に、急速な成長を遂げ、高い顧客ロイヤルティを実現できる。本稿では、成功事例をひも解きながら、レガシー企業や中規模企業がAIベースの新たなプラットフォームビジネスに移行するために、何をすべきかを論じる。


 人工知能(AI)の進化により、プログラムによるターゲティング広告からシェアリングエコノミー、メタバースまで、さまざまな新しい戦略やビジネスモデルが出現している。

 そのようなビジネスモデルの活用に最も成功している企業――ほぼ例外なく、デジタルネイティブ企業だ――は、いわゆる「マルチサイド・プラットフォーム」を採用している。マルチサイド・プラットフォームは、エコシステムやビジネスネットワークのハブの役割を果たす企業がサービスの調整を行い、ユーザーが目的を達する障害となるフリクション(摩擦)を取り払うものだ。