パーパスは自分を見つめ直す機会を与え
心を柔軟にしてくれるもの

編集部(以下色文字):企業の社会的な存在価値を意味するパーパスに基軸を置いた「パーパス経営」に取り組む企業が増加しています。高原社長は、企業がパーパスを定める意義をどのように考えていますか。

高原(以下略):新型コロナウイルス感染症の流行が始まってからの2年間、多くの方がさまざまなストレスを抱えていたと思います。経営者は、社員を守らなければならないという強いプレッシャーがあったことでしょう。社員においても、部下や同僚、担当の事業を守ろうとしていたでしょう。仕事だけでなく家庭においても守るべきものがあり、大変つらい時期を過ごされたのではないでしょうか。

 私自身も出張がなくなり、宴席もなくなり、社員と顔を合わせる機会が減りました。プレッシャーで身も心もガチガチになり、心が縮こまっていく感覚を覚えました。逆に増えたのは、一人でじっくり物事を考える時間です。じっくりと時間をかけてパーパスを考えることで、その縮こまった心が次第にほぐれ、物事を柔軟に考えることができ、日々新しいことに挑戦する余裕も出てきました。企業のパーパスを考えることが自分の存在意義を見つめ直すことになり、それが心の柔軟性を高めてくれたのだと実感しています。