企業はいかにパーパスを追求するのか
農業ベンチャーのゴッサム・グリーンズは、パーパス主導のスタートアップの中で、輝かしい成功物語の一つに入る企業である。同社は高度な水耕栽培技術を用いて、質が高く、新鮮な無農薬野菜を栽培し、現在では米国の40を超える州で販売している。2009年の創業以来、同社は都市部の工場跡地や遊休地50万平方フィートを再開発して、市街地に近代的な温室施設を設置してきた。これは従来と比べて、使用する水が95%、土地が97%少なくて済む施設だ。初年度から利益を計上している同社は、『ビジネス・インサイダー』の選ぶ「米国で最もクールなニュービジネス50」の一つにも選ばれた。2020年末までに集めた投資は1億3000万ドルに上る。
ゴッサム・グリーンズは、明らかに社会と環境に恩恵をもたらしている。同社は「地場食品の生産、地域社会の活性化、持続可能な未来のためのイノベーション創出に向けて新しい方法を見出す」という自社のミッションを果たすと同時に、従業員や投資家のために富も創出している。
つまり、同社が実践しているのは、筆者の同僚であるハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーターとFSG共同創業者のマーク・クラマーが提唱した「共通価値」であり、ホールフーズ・マーケットのジョン・マッキーCEOが掲げる「コンシャス・キャピタリズム」(良識ある資本主義)なのだ。