パーパス策定に欠かせない
経営課題と3つのルール
最近のビジネスリーダーは、自社のパーパスを考え出さねばならないという無言の圧力を受けている。ちょうど1980年代から90年代にかけて、自社のビジョンとミッションステートメントを生み出すよう迫られたのと同じである。
パーパスの策定は、経済全体や一般社会における自社の役割を鮮明にすることであり、これには数多くのプラス面があるが、リスクもある。本来あるべきパーパスの決め方をすっ飛ばし、早急に考え出そうとしたり、手抜きをしようとしたり、実態より飾り立てようとするリスクである。本論の狙いは、パーパス策定の際、経営幹部が何を決めるべきなのかをはっきりと理解してもらうことにある。それは「自社のパーパスのパーパス(目的)」である。
パーパスはいま、一種の流行になっており、流行化の弊害も目立つ。社会における企業の役割を再認識するという大きな流れの中で、企業は顧客と社員が以前よりもパーパスを重視するようになってきたと気づいている。ブラックロックのCEOラリー・フィンクを筆頭に、大手の投資機関は企業の経営幹部に対し、営利を超えた自社の社会的役割をはっきりと言葉で説明するよう強く勧めている。その内容によって投資する側の企業評価が左右されると暗に述べているのだ。企業におけるパーパスの地位はいきなり“大出世”したわけだが、人によって意見が極端に分かれる混沌としたテーマであることに変わりはない。