組織をパーパス主導型に転換する
人間はパーパスを持って生きている。有意義な人生を送ろうとする人は、精神的により健全で、レジリエンス(再起力)に優れ、意欲が高いことを、古代の哲学者は自明の理と考え、現代の科学者がそれを証明してきた。また肉体的にも強く長生きで、家族、友人、そして社会全体に大きな貢献を果たす。
パーパスを持って生きることを、企業は容易にも困難にもする。経営者たちは数十年にわたり、企業が利益を最大化すれば、見えざる手によって社会全体により大きな恩恵がもたらされるという、著名な経済学者たちの言葉を信頼していた。しかし、そのようなことは起こっていない。株主のための価値創出を過度に重視することで、それ以外のステークホルダーから価値を奪っている。
その明らかな兆候として近年、退職者の数が過去最高を記録している。退職には至らない人々も、やる気を削ぐような仕事に時間を費やしているほど人生は長くないという思いを募らせ、それを誇示するためにストライキのピケラインに参加している。また社会的不平等や環境破壊への懸念は膨らみ続けている。社会システムの均衡が崩れ、状況は悪化する一方だ。