職場で女性に偏って影響し続ける「隠れた」ストレスは何か

 不確実性が増すばかりの世界で、私たちの誰もが、ストレスを抱えるには十分すぎるほどの理由を持っている。しかし、女性従業員に偏って影響し続ける職場のストレス要因はあるのだろうか。最近のいくつかの研究が、しばしば意外かつ微妙な形で女性に影響を与える可能性が高い、さまざまなプレッシャーやストレスについて考察している。

 ●女性は「地位平準化の重荷」を感じる可能性が高い

 たとえば、外科医45人を対象にインデプスインタビューを行った研究で浮き彫りになったのは、研究者らが「地位平準化の負荷」(status-leveling burden)と呼ぶ現象だ。ステータスが高く、男性が支配的なポジションに就く女性は、組織階層が自分より低い同僚女性(この場合は看護師)と対等に振る舞うために、同じポジションの同僚男性に比べて、多くのプレッシャーを感じやすいことがわかったという。

 そのようなプレッシャーは、伝統的に男性が支配的に振る舞う高位の職に就く女性にとって、組織階層の上と下のどちらの同僚ともポジティブな関係を保ちつつ、自身のキャリア向上を図ろうとする際、問題が生じる可能性がある。

 ●女性は期限の延長を求めない傾向がある

 別の研究によれば、女性は男性と比べて、締切が調整可能であることが明らかな場合でも、期限の延長を求めない傾向がある。その結果、女性従業員は締切に関するストレスを経験しやすくなり、ウェルビーイングとパフォーマンスの両方が損なわれてしまう。

 研究者らはこれらの発見に基づき、マネジャーと組織は、いかなる場合であれば期限の延長が受け入れられるかについて、従業員の個々の推測に頼るのではなく、延長の要求を容易に行えるようにするための正式なポリシーを導入すべきだと主張している。

 ●女性は雑務を引き受ける可能性が高い

 最後に、広告業界で働く100人以上を対象に16カ月間にわたりインタビューを実施したところ、女性従業員は同僚男性が快適に仕事を進められるよう、自分の職務範囲から大きく外れる雑務や事務作業を引き受けがちであることが明らかになった。

 女性従業員は、男性従業員との対立を減らし、協調性を高めるために、母親、妻、ベビーシッター、チアリーダーなどの役割を頻繁に引き受けていると、研究者らは説明している。

 これは女性にとって余分な仕事であり、自分の能力をもっと価値ある仕事に投じられない可能性があるだけでなく、見たところでは高位の役職に就いているとしても、そのような地位にいる女性従業員に対する他者の認識を歪ませるおそれもある。

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 当然ながら、本稿で触れたものは、職場のジェンダーに関わる問題について、さまざまな側面を検証する広範な研究のごく一部にすぎない。私たちはこれまでの進歩を讃えて、さらなる改善に向けた取り組みを続ける一方で、これらの問題(と問題に対する自分たちの考え方)が常に変化するものだと認識しておくことが重要だ。

 女性が直面する困難と機会の存在を認知していることは、より多くのデータ、分析、実際の体験が明るみに出る中で発展し、進歩し続ける。そして、これらの重要かつ複雑な問題について問い、学習し、理解を深める責任は、私たち一人ひとりが負っているのだ。


"Research Roundup: How Women Experience the Workplace Today," HBR.org, March 29, 2022.